沿 革

キャリア・サポート・ネットワーク(CSN)は、1973 年に旧労働省の計画で設置された「サンプラザ相談センター」(中野サンプラザ)が2003年に閉鎖された後、カウンセラーとスタッフが中心となって立ち上げたNPO法人です。サンプラザ相談センターは、高度成長期の日本における青少年の総合相談施設として、30年の長きにわたり、時代の要請に応えて、幅広い活動を行ってきました 。

年間1万件余の相談を受けつけ、多くの人々の支えであり続けたセンターは、新自由主義が席捲し「自己責任」が声高に叫ばれる世の風潮のなかで、小泉内閣の強硬な方針によって閉鎖されたのです。
行政による無念の断絶の記憶は、未だに薄れることはありません。反面、行政を当てにせず、自分たちの力でコミュニティーを作っていくことの試練に立ち向かえたのは、多くの支えと助けの賜物であり、そうした断絶を体験したからこその成果でもあります。

2003年の立ち上げ時に事務所を構えたのは港区の麻布十番でした。まだ「NPOって何?」と言われる時代に、港区は「NPO推進課」を設けて様々な施策を展開していました。私たちも講座やグループワークを開催するにあたり、運営や広報面での支援を受けて大いに助けられました。諸事情から1年で渋谷区の現地に引っ越すことになり、研修室も設けて、個人相談とグループや講座をつなぐ試みにも取り組みました。この 方法はサンプラザの長い歴史に培われた確かな経験と実績に裏付けられているものです。当研修室では、「交流分析学習講座」を始め、「キャリアサポーター養成講座」、「エンカウンターグループ」、「パーソナルサポートグループ」など、多くの講座やグループワークを開催してきました。その他に、大学や福祉機関などへの出張講座や相談事業、地域の他団体との連携や活動にも力を入れて参りました。

2010 年には、横浜白楽に手焼きドーナツカフェ縁(えにし)を開店、就業支援事業としての拡大を目指しました。折しも翌年の東日本大震災による影響で閉店を余儀なくされてしまいましたが、当法人の運営を進展させるうえでかけがえのない体験となりました。

開設から20年近くを経て、当NPO各事業への参加者は、カウンセリング2,750名(延べ)、講座グループワーク2,520名、出張講座、相談2,350名、レンタル事業2,550名、その他35名、(以上、対東京都提出事業報告書による)と、10,205名に上ります。(2022年3月現在)
現在は、コロナ禍のため、可能なものはZoom(ズーム)で開催していますが、中断しているものもあります。勢い、個人カウンセリングが多くなりつつありますが、講座やグループワークもリモートで開催できるものは試行しています。振り返れば、サンプラザの歴史を加えて半世紀の時が過ぎようとしています。時代の変遷やその時々の状況に合わせて、支援の形も変化していくのは当然の成り行きでしょう。今後も世の動きに心を配り、時代のニーズに敏感に対応していきたいと思います。(2022年3月30日記)

数年にわたるコロナ禍を経て、活動形態は否応なく変更を迫られ、対面でのカウンセリングやグループワークは制限せざるを得ず、オンラインによる実施が多くなるなか、2024年に当NPOは設立20周年を迎えました。諸事情により今年3月に事務所を移転、現在は個人カウンセリングを中心とした活動を継続しています。今後の活動に関しては、社会情勢や周辺状況を鑑みながら、できる限り息長く続けていきたいと思います。(2024年3月1日追記)