犬と人間

 ようやく私の体調が元に戻ってきたと思ったら、
今度はフータの調子が悪い。この数週間下痢と
嘔吐を繰り返す。
 最初は私の風邪がうつったのかな、とか
夫が落としたハンバーグのかけらを食べて
玉ねぎにやられたのか、とか推測していたが、
どうもそんなことではないらしい。
 そこで先日夫が獣医さんのところに連れて行き、
検査をしてもらった。その結果、肝臓がかなり
弱っているらしいことが分かった。お腹にしこりも
あるとかで、腫瘍ができている公算が強い。
もしかしたらガンかもしれない。
 サンタが死んでからフータは急に甘えん坊に
なった。動作もまだ元気で幼い感じがするが、
考えてみればもう今年で13歳だ。立派な老犬で
ある。内蔵機能に故障が出てもおかしくはない。
 初めて飼ったのはシェットランドシープドッグの
ゴロー、それからミニチュアダックスのサンタが
来て、その何年後かにゴローが亡くなり、何だか
うつ病のようになってしまったサンタを案じて、
珍しいモカ茶の毛色をしたトイプードルのフータを飼い、
去年の夏に18年も頑張ったサンタが逝った。
この間約25年。何と四半世紀も犬と暮らして
きたことになる。
 「生き物は死ぬのがイヤ」という人がいるが、
生き物は皆死ぬのだ。そのことを私はゴローや
サンタに実感させてもらった。ゴローもサンタも
最期は苦しそうだったが、それでもただ堪えて
命を終えていった。生と死が一続きであることを
彼らは私にみせてくれた。死を看取ってこそ動物を
飼う意味があると私は思う。
 動物は勝手な人間の投影を引き受けて
無心に生きる。自分の寂しさや愛情の肩代わりを
身勝手に動物に求める人間に、文句の一つも
言わずに、与えられるままに一生を過ごす。
人間の子どもだったらこうはいかない。
動物を飼うと人間のいやらしさがよく分かる。
 飼い犬の死を看取るのはフータが最後だろう。
これから少し辛い日々が続くかもしれないが、
死は生の最後の仕上げだ。できるだけ苦しまない
手立てを尽くして、その日を迎えさせてやりたい。
blogranking.gif
ブログランキング・にほんブログ村へ
↑ブログを読んだらクリックしてね!
 

カテゴリー

投稿の月