このところ社会福祉関連の分厚いワークブックと
連日格闘中。頭の中は数々の制度や法律で占領状態。
ところで「福祉の国」といえばスエーデンが思い浮かぶが、
外国と日本のデータを見比べてみるとこれがなかなか面白い。
例えば国民の社会保障負担率。日本は39%だが、
スエーデンは64.8%と先進国中最も高い。要するに
かなりな分を税金などで取られているということね。
次いで高いのがフランス61.2%、ドイツ52.4%、イギリス
48.3%と続き、一番低いのはアメリカの34.9%である。
こうしてみると日本は案外低いのよね。
しかし低いからいいわけでもない。
何せアメリカなんかは一般市民対象の公的医療制度も持たず、
高齢者介護もかなりお粗末。ちょっと重い病気にかかれば
家を売らなければ払えぬほどの費用がかかるし、介護施設の
職員は給料が安いせいで質が悪く、殆どが警察の介入を
要するようなひどい虐待が横行する劣悪な環境だという。
転じてスエーデンは介護つき住宅が充実し、全体の
8割がシャワートイレ付きの個室で家賃は安く、なお
低額所得者には社会保険からの補助がある。それに
マックスタクサと呼ばれる制度があり、介護サービスの
自己負担がいかに重くても上限額が決められていて、
利用者の手元に必ず最低所持金として月額4,281クローネ
(日本円で5万円くらい)を残すことが保障されている。
つまりは、どんなに貧乏でも月に5万円のお小遣いが
あるってことよね。これ、日本だったらかなり優雅な
老後だよね。
スエーデンでは、高齢者が子ども家族と同居すことは
殆どないんだって。直接的な介護は国が担い、家族は
時折訪問しては一緒にお茶を飲むとか買い物を手伝う
とか、違った形でのコミュニケーションに勤しむらしい。
家族が介護する場合には手当てが出るが、利用者は
少ないという。
スエーデンの福祉は税方式が中心だが、フランスは
社会保険との混合方式。ドイツは世界初の疾病保険の
創設国で社会保険方式が中心。但し公的補助は殆どない。
ニート発祥の地であるイギリスは、悪名高きエリザベス
救貧法からの有為転変。現在は最低保障に力を注ぐが、
ニート対策としての職業訓練なども盛んで、アメリカの
ニクソン政権下で唱えられた「ウエルフェアからワーク
フェアへ」の思想を取り入れていると言われる。病院は
全て国立で無料だったが、経済情勢が悪化する最近は
一部利用者負担も出てきているとか。
さて、我が日本はどうだろうか。
アメリカほどひどくはないものの、世界で一番の急激な
高齢化社会を迎え、国も国民もアップアップ。「地域福祉」
の掛け声日増しに大きく、頼りは地域の絆と家族の愛?!
介護は限界まで家庭でやってね、の魂胆みえみえ。今は
介護認定も厳しくなってよほどよれよれにならない限り
要介護認定も受けられない。それでいて、雀の涙ほどの
基礎年金からばっちり介護保険料を差し引いてく。この
保険、死ぬまで強制的に掛けさせられるのよね。おまけに
多分税金も上がる。日経新聞は所得税の増税には批判的な
くせに消費税に反対する奴はバカだと言わんばかりの論調。
つい最近生活保護利用者が205万人を超えたという
記事があった。何と戦後すぐの204万人を上回る勢い。
それも働ける世代の受給がすごい勢いで伸びている。
日本がワークフェアを言い出すのも時間の問題かと
いう気がする。
スエーデンの老齢福祉は3年以上居住した65歳以上の
全ての人に適用されるという。今からでも居住したい
くらいだけど、今まで何も貢献しなかったのにおいしい
ところだけください、というのは通用しないだろうなあ。
そんなこんなで福祉のワークブックはあらぬ思考で
脱線ばかり。暗記がちっとも進まないのは齢のせいも
あるけど、身につまされる年齢になってこんなことを
勉強しているというのが大きい。600ページを超える
2冊のワークブックには、暗記事項が何千もびっしりと
載っている。わが身に引き付けるのもほどほどにして
先に進まなくちゃね。
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