虫愛ずる婆さん

 この暑さのせいかは定かではないが、
今年は心なしか虫が多い。
毎晩のように勾玉色のカナブンがトイレの
窓から入ってくるし、大きな蛾や茶色の
コオロギ、瑠璃色をした小さな虫(ルリハムシ
というらしい)や、大小のクモ、もちろん
ゴキブリも闊歩している。コバエや蚊も
多いみたい。

 去年は夫が散歩の途中でセミをとって
来たものだが、今年はさすがに寄り道をせず
涼しいうちに帰ってくる。
子どもが喜びそうなカブトムシやクワガタは
いないし、バッタやカマキリにもお目にかかれ
ないけれど、台所の窓の裏にときどきヤモリが
へばりついて白いお腹を見せていることがある。
すっごくかわいい!
それがこの間は居間の床をサササッと這ってた。
ちょっとつかまえてみたかったけど、すばしっこ
すぎて無理!

 子どもの頃は狭いながらも庭があり、
イチジクの木や夏みかんの木があった。
黒い縞蛇が何匹もいて、かえるもいたし
カタツムリもいた。夏みかんの葉には
青虫がいて、それが蛹から羽化して
美しく見事なアゲハになるのを息を殺して
見ていた記憶がある。

 虫は嫌う人も多いけれど私は大好き!
一時はこの辺りに蚊も出なくなって殺伐とした
感じがしたが、ここ何年かで随分戻ってきた。
花壇に大きなミミズなんかを発見すると、
ちょっと嬉しくなってしまう。虫というのは
FC(自由な子ども心)の好奇心をくすぐる
恰好な生き物だ。

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