懐かしきビラ

 先日所用があって裁判所に行って来ました。ずーっと昔傍聴に来た覚えがうっすらとあるのですが、その頃に比べすごくものものしくなっているのにまず驚きました。正面玄関にちょうど飛行機に乗るときみたいな関門所が設けてあって、荷物はベルトコンベアーみたいのに乗せられ、自分は探知機のついたゲートをくぐらなきゃならないの。何かいやでも緊張しますね。前の歩道では色んな人が大声張り上げてビラとか配ってるし、一種異様な雰囲気でした。まあそういう雰囲気は昔もあったのだけれど、今は他のところでは余り見られなくなった光景なので、異様さが際だつ感じがしたのでしょうね。
060326_173844_M.jpgそのときに貰ったビラの一枚がこれ。
何か60年代にタイムスリップしたかのような雰囲気でしょ(と言われても知らないよという人の方が多いだろうけど)。何でも法政大学キャンパスで「憲法改悪反対を訴える看板が強制撤去されたことに抗議するデモを行った29人の学生が公安により一斉逮捕された」のだそうで、「警察と大学当局が仕組んだ言論弾圧に怒りの声を!」という文字が躍っています。どうもその公判がその日あったようで、裁判所にはおよそ似つかわしくない風体の若者達が大勢押しかけてましたっけ。「あの人たち、何ですか?」ってちょうど通りかかった風呂敷もった検事さんらしき方に聞いたら(因みに裁判所には揃いの風呂敷持った人をあちこちで見かけます)、「あゝ、公務執行妨害らしいですよ」って教えてくれました。「コウムシッコウボウガイ!何と懐かしい響き!」としばし郷愁に耽るかなりんなのでした。
 この間も事務所でビラを見ながら「懐かしいわねぇ」としみじみ呟いていたら、居合わせた会員さんから「そんなビラで郷愁に耽れる人って珍しいですね」と笑われてしまいました。確かにその通りですが、今どきこんな風に素朴に闘う学生がいるとは驚きでした。警察や大学のすることって今も昔も大差ないんだなと改めて思います。幸いにも私は逃げるのがうまかったので逮捕歴はありませんが、友人には結構つかまっちゃったのもいて、今では「20日間黙秘の武勇伝」などを自慢げに語ったりしています。

カテゴリー

投稿の月