FCとAC

 今日はまたびしょびしょとした雨が降る肌寒い日となりました。このところ私のブログ担当日というとこんなお天気で、ブルーマンデイが益々ブルーになりそうですね。今日本当は近くの公園で狂犬病のの予防注射がある日だったんだけど、それも中止になり、我が家の坊ちゃんたちはストーブの前で気持ちよさげにクークー寝息をたてています。こういう日はお客様もなく、nekoちゃんと決算の続きをしたり、カウンセリングのカードを書いたり、お喋りをしたりしているうち、あっという間に日が暮れました。
 こんな日は余りブログに書くようなネタもないので、また例のナチュラルトラックバックというやつをやってみようかなと思います。昨日のA子さんのACの話ね。
 ここを開設してからもう3年経ったけれど、その間に随分沢山のグループや講座をやりました。私のグループは殆どTAをベースにしているので、いつも最初にエゴグラムテストをして頂きます。今までに実施したテストの数はかなりのものですが、それを見返してみてつくづく感じるのは、ACの値が高い人が非常に多いということです。5つの自我状態機能のなかでACが一番高いという人も相当数に上ります。
 これには多分日本の文化的背景が少なからず影響しているのだろうと思います。自己主張を抑え、他と和して生きるのが一番という価値観はまだまだ根強く残っている感があります。以前どこかの大企業の社長が「不真面目なくらいの個性が強い人材が欲しい」というようなコメントをしているのを新聞で見かけて、「ホントかいな?」と思ったことがあります。「不真面目で個性が強い」人などというのは、周りを振り回す厄介な存在でもあるわけで、そういう人を包含していくには「強靭な鷹揚さ」といったものがなければなりません。見るにつけ聞くにつけ、日本の組織ってそうしたものとは程遠いって感じですからね。
 先日日経の記事で面白いのがありました。サンスター文具という会社でシュレッダーはさみを開発した社員の話です。彼はクイズ番組に出場しているところをこの会社の社長にいわば見初められて、社長じきじきのラブコールを受けて入社。会議では「オレが考える商品が売れないわけがない」というデカい態度を示し、営業部門から総スカンを食ったこともあるというツワモノ。件のはさみのアイディアも、お蔵入りになりかけていたところを、社長の肝いりでやっと実現したといいます。はさみが大ヒットした今でも「社長のお気に入り」との周囲のやっかみは相当なもので、社長がいなくなればたちどころに追放されかねないのだそうです。
 彼などは正真正銘のFC男ですね。周りの目などものともせず言いたいことを言い、やりたいことをやる。しかし彼のように才能があっても、いや才能あればこそかもしれませんが、もぐらたたきの手はやまない。「いじめ」の洗礼を受け、仲間はずれの怖さを思い知らされるような今の教育環境では、こうしたFCはなかなか育ちませんね。
 彼のような強烈なFCは、それを理解し育くむPの存在がなければ生き延びられません。彼の場合はそれを社長が担ってくれているわけですが、その人がいなくなったらそれでおしまいということになりかねません。なんていったって「C」(子ども)なんですからね。一人じゃやっていける筈がない。要するにFCだけでは渡っていけないってことです。自分のなかにPとAを育てていかなくちゃならない。「周囲への配慮」とか「他者への敬意」とかいうものがないとそのうちただの鼻つまみ者になりかねません。
 こうしてみるとFCというのもなかなか厄介なんですよね。「FCかなりん」たる私にも結構悪戦苦闘の歴史があるのです。それにいずれにせよあまりにCが高いとなかなかAやPが育たないから、「叩き叩かれ蹴り蹴られ」みたいなことを生来のエネルギーで何とかかいくぐっていくっきゃないのです。そんな大変なことはしたくないからみんなACを高めて「いい子」のふりをして我慢しちゃうんですね。
 405さんがA子さんのブログへのコメントで「FCを鍛えるほうが至難かも」と言ってますが、FCは「鍛える」っていうより「蘇らせる」もののような気がします。私や文具会社の彼のようにやたらにFCだけを肥大させてしまった場合は、それをAとPで制御してバランスをとることが必要ですが、逆に抑圧してしまった場合はAやPによるケアが必要です。少しずつ栄養(ストローク)を与えて、萎縮してしまっている生来の「喜び」や「楽しさ」の感覚を取り戻していくことです。A子さんが「本当に自分が楽しいと思える感覚を身に付けたい」と書いていたのは、そういうことと結びつくと思います。
 と、今日は降り続く雨につられて色々書いてしまいましたが、まぁ、私も精々「ただの鼻つまみ者」にならないよう気をつけなくちゃあね!
 
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