「正念場」デビュー

 そうですか。A子さんは「正念場」ですか。
A子さんが言うと新鮮に響きますが、この言葉、
どこかで何回も聞いたような・・・。
 振り返れば5年前。サンプラザ相談センター
最後のエンカウンターグループでかの男Nが
人生最大の「正念場」を迎えたのでありましたねえ。
 その後も何回かこの言葉は彼との間で行き交いました。
今もひょっとして幾度目かの「正念場」?
A子さんが初心者なら、さしずめ男Nは「正念場」の
ベテランということになりましょうか。
 「正念場」にベテランもくそもあったものか、とお思いの
向きもおありでしょうが、体験とは恐ろしいもので、やはり
場数を踏むうちに少しずつですが強くなっていく、というか
慣れていくのですね。
 「正念場」というのは、思えば切り立った崖と崖の間の
深い谷に掛かっている、細い丸太の吊橋みたいなもの
じゃないでしょうか。それに足を踏み出すときも怖いけど、
歩き始めりゃなお怖い。できればくるりと後ろを向いて
逃げ帰ってしまいたい。
 今のA子さんの心境はまさしくこんなところでしょう。
一歩足を出すたび揺れる吊橋、果たして向こうの崖に
無事辿りつけるのか。気の遠くなるような果てのない
長さに感じられるこの橋を渡りきることができるのか。
何せ「正念場」なんて初めてなんだから、こう感じるのも
無理はありません。
 人生にはこんな吊橋が時折姿を表します。
男Nならずとも、「ここが踏ん張りどころ!」という場面は、
必ず誰もが経験していることと思います。
 私の最近の「正念場」は、このNPOを立ち上げる
ときでした。勝算はなく、この先どうなるかも分からない。
でも、踏み出してしまったからには渡り続けるしかありません。
 私のなかにあるのは無事に渡りきるイメージです。
これまで何回も遭遇した「正念場」ですが、それが
吊橋のイメージと重なったのは、以前旅先で実際に
深い山間の吊橋を、ひどく怖い思いをして渡った体験が
きっかけでした。
 下を見ると目のくらむような深い谷底で、そこに掛かって
いる橋はひどく長く(見えただけかもしれないけど)、
古い丸太を何本か無造作に渡してつくったような、
いかにも足場の悪そうなものでした。同行者のなかには
足を踏み出せなかったり、渡り始めても、かなりの揺れに
途中でしゃがみこんでしまう人もいました。でも私は
とにかく真っ直ぐ前だけを見て渡り続け、何とか渡り切る
ことができました。
 勿論実際の吊橋は、どんなに頼りなげに見えても
そうそう崩れ落ちることなどないようにできているし、
時間にすればほんの5分程度のことなのですが、
それでも「やった~!」という、何とも言えない達成感が
ありました。そのときの感覚を今でも胸に蘇らせ、
「人生の吊橋」に立ち向かっています。
 私にもまた新たな吊橋が出現するときがあるかも
しれません。しかしこの吊橋、渡る経験を重ねれば
重ねるほど、成功のイメージは強まります。そして
成功率はどんどん高まっていきます。
男Nも10年先には大ベテランかも!
 コツは唯一つ、成功のイメージをしっかりと抱き、
真っ直ぐ前だけを見て、歩み続けることです。
お腹に力を入れて、一歩一歩確実に足を進めて
行くことです。後ろや下を見てはいけません。
途中で立ち止まることがあっても、自分を励まし、
再び前へ進むことです。
 「正念場」初体験のA子さんをはじめ、今CSNのメンバー
たちは皆、それぞれの「正念場」にさしかかってきているような
感があります。吊橋の渡り方は違っても、自分なりのやり方で
何とか立ち向かわんとする彼らの決意を支持し、見守って
いこうと思います。
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