「ドクター35000頭」

本を読み始めると困った事態が生じる。
私の場合は・・・。
まず部屋に読みかけの本が散乱し、雑然とした部屋になる。
次に家事をさぼりたくなり、夕食時間が遅くなる。
度が過ぎると食事も作らなくなり、世事をシャットアウト。
夫も本の虫だ。
通勤電車で読む本は、かなり分厚く重い。
彼の場合は自分の仕事に関する本が多い。
本好きの二人が結婚した当初は酷かった。
当時、私は食事を作り慣れておらず調理時間に1時間以上もかかり
、だんだん外食の日が多くなった。
ある日曜日の夜、一日中、二人とも本を読んでいて気がついたらお腹
が空いていた。
作るにも待てず、自転車に相乗りして、近くのお弁当屋さんにお弁当
を買いに走った。すると次の日、しっかり職場で食事を作らない主婦
として、有名になっていた。なんせ、住まいが近かったので、先輩に
見られてしまっていたのだ。
子供が生まれると、当然の如く本を読む暇が無くなり、食事も短時間
で用意できるようになり外食も無くなった。
最近は子供が社会人になり、またもや、本を読む時間が多くなった。
夫や長男の帰りが遅いと、夕食作りを勝手にパスしてしまう事、度々。
夫は勿論、長男も慣れたもので苦情申立はない。
しかし自分自身で一番困る事がある。
本を読み出すと周りの出来事に無関心になり、ニュース、新聞まで目を
通さなくなる。結果、世の中の出来事を知らず、えっ?何?何の話?
となり、夫や息子に皮肉られ、笑われる。まだ家族ならいいが・・・。
ちょっと前までは読む本のジャンルは決まっていたが、最近は幅が広が
り始めた。無知に近いジャンルの本を読み始めてみると結構面白く、興
味がないと思っていたのが自分の思い違いだった事に気がついた。
今読んでいる「生命の暗号」村上和夫著の中に「環境の変化で遺伝子が目
覚める」という章がある。
気にいった部分を要約してと以下に述べる。
・・・ある環境に巡り合うと、それまで眠っていた遺伝子が「待ってました」
と活発に働き出すことがあり、そういう時、人は変わる事ができる。
・・・新しいものにふれることはOFFになっていた良い遺伝子を目覚めさせる
絶好の機械である。
・・・基本的に遺伝子は老化しない。いくつになっても自分の才能を開花させ
る能力がある。
・・・遺伝子の働きを阻害するのは否定的な心である。
などであり、本書には科学者としての村上和夫氏の研究成果やその過程な
ど面白いエピソードが満載されている。
氏は1983年に高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読に成功
している。それに至る過程で、35000個の牛の脳下垂体を集めたとい
うから、気が遠くなる。しかも35000個の脳下垂体の皮むきをし、1個
当たり1.5グラムで約50キログラムの脳下垂体。
牛の脳下垂体は手の親指の先ぐらいで、栗の渋皮みたいな薄いものを被って
いて、その皮をむくのが大変な作業だという。
そして、この脳下垂体を凍結乾燥してインスタントコーヒーのような粉末に
し、レニンを抽出した。できたのは、僅かに0.5ミリグラム。スゴすぎ!
しかしレニンの発見は科学上の大発見である。その裏で計り知れない努力が
有る。その科学者達のお陰で、レニンだけでは無く、多くの医薬品が私達の
命を守ってくれているのだと思うと感謝せずにはいられない。
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