行商の青年

雨降りの夕暮れ時、リズミカルに駆けぬける人力車。
何台続くのかと眺めていると縦長に5台。
客台には誰も載っていない。
こんな風景が観れるのは浅草ならでは、だろうか?
お客さんの勧誘の仕方も聞いていると面白い。
20代後半から50代後半だろうか?
結構幅広い。
最近、自宅の周辺で時々、台車に載せたお豆腐を売って
いる若い男性を見かける事が多くなった。のぼりに築地
、ゆば、お豆腐と書かれている。
わざわざ、築地からお豆腐を、こんな遠い所まで台車に
載せながら行商しに来るのだろうか?
そんな筈は無いが・・・。
いつかは聞いてみたいと思っていた。
何故、そんなに、コツコツ、歩いて行商ができるのか?
熱い日差しの中、雨の中、黙々と頑張れるのか?
そして、そのチャンスが3日前に訪れた。
「ENISHI」のウインドウから「築地、ゆば」の、のぼりが
チラチラとはためいた。行ったり来たり。
どうやらドーナツを買うかどうか考えている様子。
ついにドアが開いた。そして20代前半の青年が爽やかに、
「ドーナツ下さい。岩塩が前から気になっていたんです!」
その青年と色々話しているうちに築地から来るのでは無く
反町から来るのだと聞き納得した。バイトをしながらドラム
をたたいているのだという。
人力車を運転している青年もバイトしながら何か夢を追って
いたりするのだろうか?
何だか、羨ましい気もする。嫌々しんどい!!
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