竹の子御飯

竹の子ご飯を作ったから、持って行くとの電話が有った。
懐かしく優しい、その声は義理の母からだった。
義母は72歳。苦労の絶えない人生にして苦労を感じさせない
おおらかさを感じる。毎日を生きるのが精一杯で愚痴なんか
言っている暇は無いと笑う。
そんな母を見ていると反省する事も多いが、教えられる事が
多い。50歳の頃から始めた介護の仕事は天職だと言う程に、
手際が良く、いとも簡単に仕事をこなす。
3・11震災の日、どの様にして危機を脱したか聞いてみた。
職場に向かう途中、電車が止まった。
地上に出て3駅歩き、ホトホト疲れて歩けなくなったと言う。
それでも、患者が待っていると思うと必死に知恵を絞った。
目の前にいた焼き芋の屋台のおじさんと交渉して、焼き芋
1000円分購入する代わりに○○病院に運んで欲しい・・と。
交渉は無事成立して、病院に着き、無事勤務。
暖かい焼き芋は、周りの人に配って大喜びされたと笑う、
その顔をみて、さすがだと感心した。
苦労の人生を生きて来た人の知恵は逞しい。
そして何よりも、その仕事振りは、とことん人に優しい。
この母を見ていると、ほのぼのと安心感が湧き上がって来る。
「お母さんに介護して貰う人は本当に幸せだね。」
と、言うと「そうよ。本当に幸せよ。」と笑う。
自宅に帰って、家族で竹の子御飯を御馳走になろうと思って
広げた、その瞬間、唖然。
何と、竹の子御飯の具がタッパに入っていて生米が1キロ、
別々。ガチョーン!お預け↓↓。
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