ココロのファイル

 年も押し詰まり、ここ数日書類の山にまみれていた
かなりんです。何せ毎日「セミナーのお知らせ」やら
「NPO関連のアンケート」やらその他諸々の郵便物が
これでもかこれでもかというくらい届き、ちょっと処理を
後回しにしているうちに、デスクの上だけでなく
事務所のソファーにまで山積みになっている始末。
おまけにスクラップ用の新聞や雑誌の切り抜きも
いつの間にかかご一杯溜まっている。年末くらい
すっきりしたいと、nekoちゃんはじめ事務所に顔を
見せたメンバーの手を片っ端から借りて整理をしました。
お手伝いくださった皆様、まことにありがとうございました。
おかげで清々とした気分でPCに向かっております。
 「書類の整理」というのは、つまりファイリングですね。
種類ごとに分類してそれを該当のファイルに綴じる。
言葉で言えば簡単そうですが、これが結構面倒な作業
なんです。最初の段階の「分類」のところでまずつまづく。
「これはどの項目に分類したらいいのか?」と迷うものが
結構多い。ファイルというのは後で見直したいときにすぐ
取り出せなければ意味がないから、大雑把に分けると
どこに綴じたか分からなくなるし、かといって余り細かく
項目を立ててもファイルばかり多くなって、これまた
取り出しにくい。適当なところで手を打てば、はっきり
分類しきれないものが必ず出てくる。
あゝ、やんなっちゃう!
 頭を使い手を使い、足りない項目を足しては何とか
分類を決めたはいいけど、かさばりすぎて綴じられない
分厚いパンフ類とか、十冊以上も送られてくる小雑誌とか
もうどうしたらいいの?ファイルはどんどんパンパンに
なっちゃうし、古いものは捨てちゃえばいいんだけど、
全部「エイヤッ!」て捨てちゃっていいのかどうか、
いちいち見返してみなけりゃ分からない。たまに大事な
資料とか保存用のデータがあったりするし・・・と、
なんやかんややってるうちに、狭い事務所の床は紙の山に
覆われて、トイレに行くのも一苦労と相成りました。
 聞くところによりますと、「事務」というのは「ファイリング」
と言い換えてもいいくらい根幹的な仕事なんだそうです。
確かに定期的にやっていればこんなに溜まりまくることもないし、
「参考になる資料があった筈だけど、どこにしまったかしら?」と、
企画書を書いている途中で探し始めて半日を費やしちゃった、
なんてことにはならない。仕事をスムーズに進めるためには、
まことに重要かつ実効性の高い作業なんですね。
 実はこの「ファイリング」、実際の仕事だけでなく、
私たちの心にも必要なんです。ファイルするのは書類ではなく、
「感情」というこれまた厄介な代物です。私たちは生きている限り、
日々様々な感情の波に襲われます。「怒り」「悲しみ」「喜び」
「口惜しさ」「寂しさ」「虚しさ」などなど、その種類は数限りなくあります。
なかには名前もつけられないようなものも多いですね。
膨れ上がり、溢れかえり、どうにも納めようがない。
納めどころも分からない。でも何とか納めていかないと、
前に進むことができなくなってしまいます。
 「分ける」というのは「分かる」に通ずると言います。
まずは自分の感じていることがどういうものなのか、
それはどこから来たものなのかが分からないと、
ファイリングはできません。とにかくできるだけぴったりくる
言葉を探して中身を言語化することから始めます。
「感情」というのはとにかく名前をつけるだけで、大きく
膨らんでいたものが少し萎むことが多いのです。重さも
幾らかは軽くなります。
 
 実際のファイリングにも言えることですが、大事なのは
分類の仕方です。これは本当に人それぞれ、「善い」「悪い」
などの価値観で分ける人もいれば、「好き」「嫌い」などという
感覚的なもので分ける人もいます。どちらにしても偏った
インデックスのファイルしかないと、無理にそれに合わせて
納めてしまいがちなので、ぴったりいきません。ファイルの
インデックスは自分で書くのですから、どんな分け方をしても
自由です。胸の内に散らばって整理のつかなかった感情が
しっくりとした「納まりどころ」を得られるかどうかは、この
インデックスの書き方に大いに左右されます。
 「プラス」とか「マイナス」とかいうインデックスもありますが、
それが「プラス」→「善い」、「マイナス」→「悪い」と結びついた
分類になってしまうと問題ですね。そういう人は「マイナス」の
ファイルごと隠してしまったりするので、実感とはかけ離れた
分類になってしまい、納まったようで本当は納まりきれていない、
などということが起こってしまいます。「マイナス」はそのまま
「マイナス」としてファイルして、しっかりとそのファイルを使う
ことが必要です。
 心の中に訳のわからないものを沢山抱えていると、
「ファイル」そのものが作れずに、呆然と立ち尽くして
しまっていたり、ときどき爆発しそうになるような人もいます。
カウンセリングでは、そのようなケースでファイル作りの
お手伝いをすることもあります。1冊ずつファイルを作り、
インデックスをつけ、時間をかけて一つ一つの感情を
それに納めていくことで少しずつ落ちついてくるのです。
 ともあれ自分なりの使い勝手のいいファイルを持つと
いうことは、実際の仕事をこなすうえだけでなく、人生を
歩むうえでもでも大事なことと言えそうですね。そして
実際のファイリングがなかなか一人だけでは進まないように
「ココロのファイリング」にも人の手を借りることは有効だと
思います。
 さて、事務所のファイルも片づいたことだし、このうえは
「ココロのファイル」の方もさっぱりと整理して新年を迎えたいと
思います。皆様も大掃除の傍ら「ココロのファイリング」にも
精を出してください。良いお年を!
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