「セチュアンの凡人」

 今日はドーナツカフェがお休みなので、
事務所で決算作業にとりかかりました。
しかし、私の頭はこういうことに没頭するようには
できていないらしく、決まって何かあらぬことを
思い浮かべてはしばしば中断するはめになります。
 「採算」とか「経営」とかいう言葉は、不協和音と
なって私をひどくブルーな気分にさせ、そしたらふいに
「私はシュイ・タになれるか?」という問いが沸き起こり、
自分がまるでシェン・テになったような感じに囚われました。
 一時代前のブレヒト劇を思い出すなんて、全く
おかしな話ですが、最近湯浅誠の「現代の貧困」
なんぞを読んだからかもしれません。
 何の経済的基盤もなくシェン・テであり続けることは
出来ない。さりとて常にシュイ・タを演じることは
虚しい。シェン・テは困惑のうちに引き裂かれ、ブレヒトは
結末を観客に投げ出し、「さあ、どうする」と迫ってくる
ようです。
 こんなことを考えていると、決算作業は一向に進みません。
ブレヒトなんかくそくらえ!ばかみたいにお人よしのシェン・テも
冷酷なやり手のシュイ・タも追っ払って、ブログも短めに
切り上げて、また数字と格闘することにしましょうか。

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