92歳の「喝」

 昨日何ヶ月かぶりに伯母の家を訪ねた。
去年伯父が亡くなって、一人暮らしをしている。
何と92歳である。
近くにすんでいるのだし、もっと頻繁に訪ねたいと
思うのだが、なかなか時間がつくれない。
昨日は人に会う約束がキャンセルになって、
思いがけず午後の時間があいたので、帰り道に
寄ってみることにした。
 伯母は耳は遠いが、至って元気である。
身の回りのことは全部一人でできるし、ぼけても
いない。近所の人たちも何かと気にかけてくれて
いるようで、いつも差し入れが沢山ある。
今日も「お昼にピザを食べたのよ」と言いながら
とってあった一切れを私に温めてくれた。
お隣からの頂きものだそうで、冷凍庫に沢山入っていた。
「これ簡単でおいしいから今とても気に入っている」
のだそうである。
 伯母とは昔のことや今のことや、いろいろなことを
話す。若い頃の話や兄弟の話、伯父との生活のあれこれ。
伯父は生真面目だが、怒ると何ヶ月も口をきかなくなる
偏屈な一面のある人で、伯母も散々苦労をしたと思う。
伯母が出かけてちょっとでも自分より帰りが遅くなったり
するともうぶんむくれたらしいし、伯母が友だちと
旅行に行くのも絶対に許さなかった。
「私なら3日もたない」と憤然とする私に
「でもね、何しろあの人を愛してたから」とぬけぬけと
のろける。
 伯母は、伯父が残してくれた中から
私がドーナツ屋を開くお金を出してくれた。
だからうまくいっているかどうかをいつも心配している。
昨日も「いやあ~、いろいろむずかしくてね…」と
愚痴る私に、「石の上にも3年って言うでしょ、
3年はやんなさい」とぴしゃり。「ね~」と伯父の
写真に同意を求める。「はいはい、そうだね。
せっかくお金出してもらったんだからね」と私。
 いつもは「もうベッドに入る時間」になるまで
お喋りをして、「楽しいとちっとも眠くならない」
と言う伯母に見送られて玄関を出た私。
「もう少し頑張ってみるか」と独り言。
92歳にパワーを貰うなんて、わが伯母ながら
ほんと、たいしたもんだ。
blogranking.gif
ブログランキング・にほんブログ村へ
↑ブログを読んだらクリックしてね!

カテゴリー

投稿の月