高齢者電話相談の未来

 昨日は今年初の出張講座。
毎年の口開けは大体決まってこの講座だ。
三鷹市社協のボランティアセンターが行う
高齢者電話相談事業の定例研修講座である。
 この講座ももう随分回を重ね、今年で12年目
くらいになる。メンバーの皆さんは殆どやめずに
続けていらっしゃるので、当初に比べれば講師も
受講生も大分高齢化してしまった。平均年齢は
とうに70歳を超えたであろうと推察するが、
毎年変わらず元気な顔が揃うのは何とも嬉しい
限りである。
 講座はいつもメンバーから気になる事例を発表
してもらい、私がそれについて所感を述べるという
形で進行しているのだが、時代の動きとともに事例の
特徴の変化が感じられてなかなか興味深い。
 昨年は「高齢者の孤独」がテーマになった。
今年もその命題は変わらないが、最近は60代前半の
相談者が多くなったということが話題になった。
それも離婚などで一人暮らしを余儀なくされた男性
からが多い。
 75歳以上が後期高齢者なら、65歳~74歳は前期
高齢者(私もここに入る)、60代前半はせいぜい初期
高齢者といったところだ。いや、高齢者だらけの昨今
では、還暦過ぎたくらいじゃ老人なんて言えないという
感も強まっているのに、格差というのは若者だけの
話じゃないんだなあと改めて実感。
 思えば70代くらいまでは高度成長期に働き盛りで、
年功序列と男女性役割分担の価値観がしっかりと
根づいた社会のなかで生きてきた。95%が結婚し、
離婚もままならずにここまで来て、老後の寂しさが
身にしみるのは配偶者に先立たれた後のこと。
電話相談もついこの間までは80代前後の高齢者
からの相談が多かった。
 世の価値観は次第に多様化し、生き方の自由度も
増したかのようではあるが、自由というのは反面過酷で
それを引き受けきれない人たちの不安と孤独を直撃する。
「高齢者の孤独」が今や60代前半まで降りてきたという
ことは、そのうち50代、40代にまで及ぶんじゃないだろうか。
この講座がいつまで続くか定かではないが、今が一昔と
なる頃には相談を受ける側が皆80代、おまけに事業名が
「低齢者電話相談」になってたりして!
 と、こんなばかげた推測が杞憂に終わることを願う
ばかりである。
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