平成八岐大蛇物語

 その電話があったのは、もうかれこれ1年以上前である。
「こちらNTTでございますが・・・」と電話の主はのたまった。
若い男性の声。
「モデムの交換の件でお電話致しました」とのこと。
光フレッツの使用者にかけているという。
電波か何かの関係で今使用しているモデムを交換しなければ
ならないので、ついては都合の良い交換日を決めてそれに
合わせて品物を送るからいつ頃がよろしいでしょうか?ってな
ことだった。1週間くらい先の日を指定し、「それではよろしく
お願いします」と言って電話は切れた。
 ところがすぐにまた同じ男性から電話がかかってきた。
「無線ランカードが2枚レンタルされておりますがお使いでしょうか?」
というのである。そんなもの見たことも聞いたこともない。
ADSLから光フレッツにするときに2階のPCと無線でつなごうかと
迷ったことはある。しかしモデムをつなぎに来た人が「無線だと
うまく飛ばないことがある」というので有線にした。
長~いケーブルを買ってきて夫が天井を這わせ、2階につないだ
のである。電話の男性は「おかしいですねえ、モデムの後ろに
入ってませんか?」と言うけど、勿論影も形もない。
「それでは調べましてからご連絡致します。モデムの交換は
それからということにしてください」と言うので、その話は
そこまでになった。
 日々の雑事に追われ、そんなことも忘れていた何ヵ月後かの
ある日。またもや「NTTでございますが・・・」の電話。今度は
女性の声。「モデムの交換のことで・・・」と最初の電話と同じ
話を繰り返す。私は、そういう電話はあったけど、かくかくしかじかで
調べてから電話すると言ったまま何の連絡もない、ということを
電話の女性に伝え、とにかくどうなっているのか早く報せてくれ
と言った。女性は「それは誠に申し訳ございませんでした。早速
調べて担当の者から電話させます」と大恐縮して電話を切った。
 そしてまた何ヶ月かが経った。
そしてまたもや同じような電話が違う男性からかかってきた。
「モデムの交換の件で・・・」私はいい加減うんざりして
先の女性に言ったことを再度繰り返した。
「それはそれは本当に申し訳ございません。今度こそきちんと
調査致しまして必ずご連絡申し上げます」とまたもや大恐縮の態。
しかし結局それっきりでまた何ヶ月。
 3度目の電話のときはさすがの私も切れた。
「いい加減にしてくれない?」と私は言った。
「担当の部署が違うのでナントカカントカ・・・」としどろもどろに
言い訳する相手に「そんなことユーザーには関係ない!」と一喝した。
「申し訳ございません、必ずご連絡を・・・」と、しどろもどろのまま
電話は終わった。
 そんなことがその後も数回繰り返された昨年の暮れのある日。
NTTから「貸してあるカードを返してください」と返還キッドが送られてきた。
もうどうなってるんだ!と呆れ果てたが、とにかく電話をして
もう繰り返すのもいやになる「かくかくしかじか」の話をまたするはめになった。
そしたらNTT渋谷光販売センターのKさんという人から電話があり、
ランカードのレンタルを止める手続きをしたので、自動的に返還キッドが
送られてしまった、と言い訳をした後で、「この件はきっちり私のところで
解決します」と請合ったのである。「弁済しなければならないお金のことも
あるし、とにかく近いうちに一度お伺いします」と確かに言ったのである。
 NTTの請求書を調べてみたら、それまで3,000円台だった請求額が
昨年の途中から急に1,000円台になっている。ということはこれまで
ずっと借りてもいないカード代を取られていたってことなんだから
そりゃあそうだろ。来たらきっちり話をつけなくっちゃ!と、私もこれで
さすがに今度こそ終わりになるだろうと思った。
 それが何といろいろバタバタしてまた忘れているうちに
もう3月じゃない!といきなり思い出したのは、またもや先日
能天気な女性の声で「モデム交換の件で…」の電話があったからである。
思わず電話口で絶句する私。
電話している相手には罪はない。ここで怒鳴りつけてみても仕方ない。
そうは思えど声はとんがる。
「あのねえ、Kさんていう人がね」と事の顛末をやっとのことで話す。
相手は「はあ…」と困惑の声。「それでそのK様がお伺いすると
おっしゃったのですね?」ときた。
「あなたねえ、自分のところの上司じゃないかもしれないけど、
自社の人間に敬語使ってどうするのよ!」
言ってて虚しくなってきた。
 さて、この話。やっぱりどうにかしなきゃなるまい。
それにしても巨大怪獣みたいなNTT。
自分のしっぽで起こっていることを頭がからっきし把握できない。
無数に細分化された機能のそれぞれが全くばらばらで
ユーザーの方も何をどこに言ってやったら頭に伝わるのか
全く分からない。オノレ、ヤマタノオロチめ!
電話の直後はスサノオノミコトの気分だが、そのうちに意気はしぼむ。
結局はもっとガーガー喚き散らして、「訴えるぞ」なんぞと脅かすしか
ないのかと思うと、どうも電話するのも億劫な気分になってくる。
 平成のヤマタノオロチ退治は一筋縄ではいかないですねえ。。。
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