図書館の使い方

 先月あたりから近くの目黒区民センターにある図書館に通うようになった。
今抱えている諸々の仕事に関連する資料を借り出すためである。
 学生時代は、大学の図書館が休みになると専ら国会図書館まで足を運んだ。
卒論を書く年の夏休みなどは殆ど毎日のように通いつめ、一日中在館した。
何せまだ各家庭にはエアコンもない時代だったから、とにかく無料で涼を取れ、
資料も豊富な図書館はまたとない居場所だったのである。他に公立の図書館が
余りなかったせいもあって、国会図書館は学生たちに大人気で、朝の開館前に
入館を待つ列ができるほどだった。
 当時はコピーなんてものも発達していなかったし、とにかくそこで資料を
ノートに書き写して勉強していたから、一日中いても時間が足りないくらいだった。
私の卒論は殆どが大学の図書館と国会図書館で作成されたのである。
 次に図書館通いが足げしくなったのは、カウンセリングの勉強を始めてからである。
このときは広尾の都立図書館を使った。この頃になると区立の図書館もあちこちに
あったが、専門書は蔵書が少なく、今のようにコンピューターシステムで取り寄せる
などという仕組みもなかったので、蔵書が豊富なところへ出かけていくしかなかった。
都立図書館は貸出を一切せず、手元に残したい資料があれば館内でのコピーに頼るのみ。
それも自動のコピー機が普及しておらず、職員に依頼してとってもらうようになって
いるので、一枚20円という割高な値段だった。それでも私は学生時代のように毎日
通いつめ、一日中資料に張りついて、レポートやら論文やらを仕上げたり、資格試験の
準備をしたりしていた。
 今回がわが人生で3回目の図書館通いである。
私は本は好きだが、普段読む本は借りるのではなく(個人の貸し借りは別にして)、
古本でも買って読む派なので、殆ど図書館とは縁がなく暮らしてきた。
時折必要になる専門書も、かなり高価でも購入して読んだ。
それに職場でもリクエストすれば買ってもらえたし、それほど困ることはなかった。
ところが今回は自分の知りたい課題の本が多岐に渡りすぎ、全部買っていたら
破産しかねない仕儀になってしまったので、やむなく図書館を利用することに
したのである。
 久しぶりの図書館は隔世の感あり…だった。
何もかもがコンピューターで制御され、区内に蔵書がないものは、区外や都立の
図書館から調達して貸し出してくれるシステムが整備されている。
大喜びで資料を検索し、一度に10冊以上もリクエストして、手配を頼んだ。
少し時間はかかるが、入庫したら電話で知らせてくれるという親切さである。
 それで、次から次へと読み漁ったのだが、ハタと困ったことに気づいた。
借りた本には線が引けないし、書きこみもできない。それに、大事なところは
コピーするかノートに書き留めておかないと、返却したら見返すことができない。
まさか本一冊丸ごとコピーするわけにもいかないから、大事そうなところだけを
コピーしたり、ノートにまとめて書き写したり。
これじゃ国会図書館や都立図書館時代とあんまり変わらないじゃない!
 そうこうしているうち返却期日はあっという間に迫ってくるし、
「ご依頼の本が届きましたので×月×日までに取りにおいでください」という連絡は入るし、
結構気忙しい。それに他館から借りた本は、期間の延長も思うようにはできない。
じっくり読みたいと思っても、借りたものではやはりままならない。
仕方がないので、どうしても手元に欲しい本は多少高くても購入することにした。
 どんなに時代が進んでも、やはり図書館から借りる本というのは限界があるのねえ…。
まあ、何十冊も借りた本の中には、大して内容のないものなども混じっていたから、
中身を見極めて購入する本を選定することに使う分にはいいかもしれない。
それと読み捨ててしまっても構わないような本であれば、図書館から借りるのもまた一法。
でも本当に読みたいと思う本は、いかほど高価でも身銭切って買わなきゃだめなんだね、
やっぱり。
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