人間はいつもその行動によって他者の目に晒されている。
その人が何を言ったか、何をしたか、仕草や表情、行為と
その結果が見えるだけである。だが、人の行動は必ず思考と
感情に裏打ちされている。目に見える行動と、見えない思考と
感情とのトライアングルで人は動いている。
客観的に見られるのは行動だけだから、その行動に問題が
あれば、思考と感情とのトライアングルのバランスが崩れて
いると考えられる。激しい感情に襲われて冷静な思考が吹き
飛んでしまったり、逆に思考的な価値観の強さから感情が抑圧
された状態にあると、その行動は不適応性を帯びたものになる。
身体のバランスをとるのに相当の筋力が必要なように、
心のバランスをとるのにも筋力が必要だ。しかし筋力というのは
トレーニングをしなければ鍛えられない。トレーニングには
それぞれの課題に合った方法がある。
昨日のmocoちゃんのブログにあった「自分の感情にいつも目を
向けて客観視できる練習をする」というのもそのトレーニング方法の
一つである。どうしても感情に巻き込まれて行動が反応的に
なり易い人は、その感情を意識化して距離をとる練習をするのが
効果的だ。感情というのは無意識の領域からこみあげてくるので、
それを意識化するのはなかなか大変かもしれない。しかし
トレーニングというのは最初うまくいかなくても根気よく続ける
ことで身につくのである。
行動に問題が出ている人は、その行動を修正することで
背後の感情や思考を制御しようとしたり、思考(認知)の
癖や歪みが行動を阻害している場合は、その歪みを正すことで
適応性を取り戻そうとしたりする。これは「認知行動療法」の
基盤となる考え方だが、同時に感情の問題を扱わないと
片手落ちになりがちだと私は思う。
「認知行動療法」は、意識を基盤としているので現実的な効果を
得やすいように見えるが、無意識領域に潜む感情を無視しては
表層的なものに終わってしまう。意識と無意識はお互いに常に
影響を与え合っている。無意識の領域にきちんと目を向けて、
意識とのバランス感覚をトレーニングで養うことを勧めたい。
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