先週末頃から突如ある映画がみたくなった。
スタジオジブリのアニメ作品、高畑勲監督の
「かぐや姫の物語」である。
それも上映期間終了間近というぎりぎりになって
何故か俄然みたくなった。絶対に映画館で。
自慢じゃないがこの手の勘には確信がある。
かなりの確率ではずさない。自分のなかに沸き起こる
感じが自分を裏切ることはない。料理のおいしい店を
探し出す嗅覚なんぞもなかなかのものなのだ。
そんなわけで慌ただしく上映館を探してみると、
もうやっているところは多くない。それに渋谷も
新宿も朝早くか夜遅くの一回上映になっている。
池袋か銀座に出るしかない。
さほど日の余裕もなさそうだ。
そこで急遽一昨日の仕事帰りに銀座まで足をのばし、
がらがらの最終回をみた。よかった!
無理して来た甲斐があった。
線描のあっさりした画質がいい。
今までのアニメとまるで雰囲気が違う。そして美しい。
これまでにジブリのアニメは何本かみている。
「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」…。
どれも評判に引かれて行ったが、余り心に残らなかった。
どうもアニメは性に合わないみたいと思っていた。
それが今回はスーッと引き込まれた。
じわっとした感動を覚えた。優しく、激しく、切なかった。
上質の料理を味わった気分になった。
映画館を出ると切るような寒い風。
裏通りの路地をうろつき、勘を頼りに中華料理屋に
入った。ピータン、豆腐のサラダ、生春巻き、焼きそば、
どの料理もおいしい。勘の冴えに乾杯!の一日だった。
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