ある心象風景

世界は私のなかにある。
私が笑えば世界は笑い、
私が泣けば世界も泣く。
私が瞼を閉じれば
世界は闇の中に消え、
私が目を開ければ
世界は再び姿を現す。
客観的な現実などどこにもなく、
標準的な価値もただの幻想。
私が喜びで満ちれば、
世界は美しく輝き、
私が怒りに震えれば
世界も鋭い牙をむく。
この世界を支配するのは、
いつだって私一人。
そうあの日までは・・・
あなたが私の視野に入り、
目を閉じても消えなくなり、
そして世界は私のなかから
私の外へと広がって
もう思うままにはならなくなった。
あなたをそこにおいたままで、
世界を再び私のなかに取り戻すには
私に注がれるあなたの視線を、
私に差し伸べられたあなたの手を、
一体どうしたらよいのだろう!
今や世界は私の支配下にはなく、
けれどもあなたのもとにもない。
世界は私から果てしなく広がって、
あなたからも流れ出して、
顔のない無数の存在を呑み込み、
容赦なく刻まれるときの裂け目で
幾多の視点が交錯する。
混沌の様相を帯びつつ、
ずっしりと重みを増した世界を、
私は今、誰とともに担えるのだろう!
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