モティベーション格差

 この週末は2日間に渡って行われた「ソーシャル アントレプレナー ギャザリング」というイベントに行って来ました。場所はかの六本木ヒルズ。主催は、NPO法人ソーシャル・イノベーション・ジャパン。最近とみに注目を集めている「社会起業家」を一同に集めての大がかりなものでした。今年で3回目だということですが、当NPOは今回が初参加です。幕開けの基調講演は、「ビッグイシュー」の創設者ジョンバード氏。偉大なる氏のナマの姿と声に接することが出来て感激ひとしおのかなりんでした。
 その後の催し物も9つの分科会、功績ある団体の表彰式、交流会、夜塾、マッチングテーブルなど盛り沢山で、様々な話を聞き、大勢の人と喋り、さすがに疲れましたが、なかなか刺激的な2日間でした。当NPOが設立以来から模索し続けている「社会性と事業性」のテーマに取り組んでいる人たちがこんなに大勢いるのかと驚き、またそのエネルギッシュな行動力には大いに感服しました。明日につながる活力をもらえたという感じがします。
 さて、こういうエネルギーはどこからくるのだろうか、と考えてみたのですが、やはりそれは「モティベーションの強さ」というところに集約されるという気がします。私が出た分科会のパネリストには、ビッグイシュー日本の佐野章二さん、NPO法人ぱれっとの谷口奈保子さん、フェアトレードカンパニーのサファイア・ミニーさんなどがいたのですが、共通して感じられたのは「その問題意識の強さ」と「やろうと思ったことを障害にめげずに成し遂げる行動力」です。それを支えるのが、常に変わらず持ち続けている強力なモティベーションです。
 およそ「行動」というものはモティベーションによって支えられます。それが希薄だとなかなか行動には結びつきません。私の勝手な分析だとモティベーションには次の4つの種類があると思います。即ち、①やりたい、やろう! ②やりたいわけではないけど、やりたいことをやるためには必要だからやろう! ③余りやりたくないけど、やらなければ困るからやろう! ④いやでいやでたまらないけど、やらなければならないからやろう!
 私の観察では多くの社会起業家と呼ばれている人たちは①で起業し②でそれをしぶとく継続しています。社会起業家のはしくれである私もそうです。③や④になってしまったら牽引していくエネルギーは湧いてきませんからね。日々の行動も分析してみるとこのどれかに当てはまりますね。因みに私は仕事とプライベートどちらも含めて④はありません。掃除や洗濯などの家事、入浴、歯の治療なんかは③ですね。
 ③や④は①と②に比べてストレスが大きいですね。行動の大きな部分を占める「仕事」を支えるモティベーションがこれだとなかなかしんどいです。エネルギーが持ちこたえられないと行動が止まってしまうこともあり得ます。でもだからといって①だけではすぐにぽしゃってしまうことも多いんですね。何事でも達成するためには、あまり面白くないことや苦しいこともやらなければなりません。この時点でモティベーションをどう持続するかが大事なんですね。
 最終日に出た分科会のパネリストには20代前半の若い女性がいました。いまどきのアイドルのような容姿からは想像もつかぬ確かなビジョンと実行力で、「屋外広告によるまちづくり財源創出と景観向上」に取り組む会社を設立し活動する堂々たるアントレプレナーです。彼女の話には溢れるような熱いモティベーションが感じられました。
 こういう人に出会うと、今どんどん広がっていると言われる若者たちの「格差」の源泉は、経済的なものばかりでなく「モティベーション」の強弱にあるのではないかとも思えますね。前述の佐野さんがアントレプレナーの資質として「自分と全く関係のない人に関心を持てるか」というのを挙げていました。これは同じく前述の谷口さんが挙げた「社会的な問題意識が持てるか」ということにもつながってきます。自分の内に揺るがぬモティベーションを育てるのは自分のありようひとつだと言えるでしょう。
 
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