涙がジワ~ッと。

検査技師なんだから血を見ても平気でしょう?
と良く聞かれる。
事故に直面しても、慣れているでしょう?
とも言われる。
でも、そんな事は全く無い。
むしろ、人の倍以上に慌てふためく。
確かに採血も淡々とするし、検体としての血液
には慣れている。しかし、生身の人間から血が流
れているのを見ると、普通に動揺する。
検査技師は患者と直に接する事が少ないが故に。
救急病院に勤務していた頃は、四六時中ピーポー、
ピーポーと重傷患者が搬送されて来て、輸血検査に
追われる日々を送り、緊張でヘトヘトの毎日だった。
そんな日々が有った事をスッカリ忘れていた。
数日前、大切な人が目の前で倒れ、救急車を必死の
思いで待った。倒れてから救急車が来るまで、約10
分位だっただろうか?時間の感覚が確かでは無く、
短い様でもあり、長い様にも感じた。
事態が、かなり深刻な状態に思えて気が動転した。
できる限りの処置はしたけど、ピーポー、ピーポーと、
聞こえてきた時は、ホッとした。これで大丈夫だと。
119番なんて自分で掛けた事なんて無かった。
だから気が動転して110番を掛けてしまった。
そして、「119番の間違いだ!」と警察官に怒られ
てハッと我に返った。
その後、あまりのショックで、左半身がガチガチに凝
って具合が悪い。やっとジワ~ッと涙が出なくなった。
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