ココロに効く偏向読書

 先週に引き続き「ココロに効く」シリーズと
勝手に銘打ち、今日はその第2弾。それは読書。
それもかなり嗜好的な読書じゃないと効かない。。
 
 この数週間でかなりの冊数を読み漁った。
I文庫から物色したり、新しく買ったりして
朝に晩に読み耽った。その数ざっと10冊。
 
 まずは私には欠かせぬ曾野綾子もの。
①『都会の幸福」(PHP研究所)、②自分の始末(扶桑社)
③「アバの再会」(朝日文庫)、④二月三十日(新潮文庫)
⑤「老いの才覚」(KKベストセラーズ)の5冊。
①、②、⑤はエッセイ、③は2007年出版の長編小説、
④も同年出版の短編集である。
「都会の地価には魂の自由代が含まれている」
「都会は個人を温かく埋没させる。このことが、人間に、
自分に過信することもなく、思い上がることもなく、
常に健全な一人の個人の感覚を持たせるのである」
「内心はどうあろうとも、明るく生きて見せることは、
誰にでもできる最後の芸術だ」
「信じないことが節度と愛の第一歩」
「人生を喜ぶという才能は、深く傷つかないと身につかない」
「言語的に複雑になれない人は思考も単純なんです」

 
 そこかしこにグッと胸にくる言葉がちりばめられている。
これぞ堪えられない読書の醍醐味だ。
 さて、次は井上荒野。井上靖の娘さんで、最近「切羽へ」と
いう小説で直木賞を取った作家。日経の「プロムナード」欄に
エッセイを連載中に面白い人だと注目していた。読んだのは
受賞作「切羽へ」と「不恰好な朝の馬」(いずれも新潮文庫)
の二冊。不思議な雰囲気の作品で、特に後者は堪能した。
 それからこれも日経の「プロムナード」に現在執筆中の
作家姫野カオルコ。すごく面白い!と思って探してみたら、
I文庫に一冊「すべての女はやせすぎである」(集英社文庫)
というタイトルのエッセイがあった。I子姐さんも好きなのかな、
ちょっと嬉しい。
 何せこの人、ペンネームを本当は「姫野オ××コ」
(それも××のところを伏字じゃないやつ)に
したかったけど、出版社に「当社は言論の自由なんかで
戦いませんよ」と冷たく言われて仕方なく諦め、本名を
カタカナにして使ったという感性の人。面白くないわけがない。
特に高校時代の著者が一面識もない吉行淳之介に電話をかけ、
三ヶ月に一度くらいお喋りをするのが何年も続いたという
エピソードは絶品。著者のユニークさと吉行の洒脱さが
憎いくらいかっこいい。それで本屋でもう一冊、
彼女の「ブスのくせに」(前同)を購入して読んだ。
今度は小説も読んでみたい。
 最後にこれもI文庫から、吾妻ひでおの「失踪入門」。
インタビュー形式で構成してあり、インタビュアーが
かの精神科医香山リカの弟、中塚圭骸。漫画を描くのが
苦しくて嫌で、突然失踪してホームレスになり、「失踪日記」
を書いた吾妻も面白いけど、この香山弟がまたものすごく
ユニーク。
 歯医者の免許もちながら精神の病気(本人曰く躁鬱)が
ひどくて、いつも死にたくて、薬山ほどのんでて、仕事
できるわけもなくお姉ちゃんに養ってもらっている。
お姉ちゃんは自分の変なところを弟に引き受けてもらう
代わりに、自分は社会的に仕事して稼ぐ役割を引き受けてる
らしい。弟が結婚したときは「これで死ぬのを止めてくれる
人ができた」と喜んでくれたのに、最近子どもができたら
手のひらを返すように冷たくなって、経済的援助もして
くれなくなった。「弟が真人間になったら、今までうまく
いってた役割分担はどうなるのよ」ということらしい。
まあ、こういうことは普通は無意識にあるものだけど、
さすが精神科医、よく分かっていらっしゃる。
 さて、今週はそろそろヤク切れ。
明日あたりまた本屋で物色しなくちゃ。
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