昨日、事業所の同期がチャレンジ雇用という制度を利用し、
施設を一時卒業した。
チャンレジ雇用は最長3年、
国や各自治体の機関で非常勤職員として働くことができる。
対象は主として知的か精神障害者で、
雇用期間に職場に適応する職務能力身に着けたら契約を終了し、
のちにハローワークが民間企業などへ就職先を斡旋する仕組みだ。
この制度は対象者であればだれもが利用できるのだが、
やはり採用には一定のラインを設けているようで、
同期の彼は精神障害者枠で幾度の面接や実技を経て、
ある自治体へ配属が決まった。
その同期の成長ぶりは、目を見張るものがあった。
入所当初は誰とも話さず、
訓練のやりとり以外で話をしたのは、
二週間経ってからと記憶している。
のちに何度か昼食を一緒にしたこともあったが、
昼食は一人になりたいというほど、
つねに緊張が解けないでいたようだった。
くわしい障害内容は聞いていないし、
症状もどういうものか話したことはなかった。
見ている限りではいつも汗をかき、
言葉の抑揚も単調で、
小休憩には伏せていることも多かった。
でも休まずに訓練に来て、
少しずつ周りと打ち解けるようになり、
そしてグループ学習では自らリーダーに立候補した。
グループ学習の成功はその後の訓練にも励みになったようで、
そして今回のチャレンジ雇用にエントリーをし、
見事に採用を勝ち取ったのだ。
ゆくゆくは民間勤務か、もしくは公務員になるかもしれない。
これからの時代、そのような勤め方どころか
勤務先すら見つけるのか難しくなると言われている。
例え企業に属しようとしまいと、経済がどうのこうのの前に、
できる範囲のことを精一杯やって「働いている」という実感を得てこそ、
障害とともに歩んでいける力になると私は思う。
ひょっとしたら、当事者はそこまで考えていないかもしれない。
ひたすらに、訓練や就職ということに純粋なのだ。
そんな私も就職先が決まり、事業所の通所は今月いっぱいだ。
私には就労の課題があった。
同期をこのような思いで見送ったのも、どこかで私をかぶせているのだろう。
「405さん、ネクタイはどんなのがいいでしょうか」と、
聞きに来るほどになった同期は、頼もしさに溢れていた。