今宵は私の都合により、男Nと曜日交代をさせていただきます。
今の勤務先は、
昨年の今頃に思いを寄せていたHと、
たびたび待ち合わた街にあります。
当時のHは、会社から通達で、
業務で必要となる専門資格を取得するために学校へ通っていた。
午前に授業が終わるので、
私はHと待ち合わせのためにこの街へ来て、
昼ごはんを食べたり、
そこから彼の車で出かけたりした。
行列のできるハンバーグ屋があるというので、
お昼のピークを過ぎた頃にその店に入り、
列に並んでまで食べたいような味ではないと、
Hはブツブツ言っていた。
別の日、
Hが「郊外の紅葉を見に来行きましょう」と言い、
学校近くのビルの前で待ち合わせたことがあった。
彼は、家から車で来て学校近くに駐車していた。
待ち合わせ場所から駐車場へ向かう道すがら、
「クラスメイトに昼飲み会に誘われたけど、断った。」と言うので、
「それって今のタイミングで、しかもわざわざ私に言うことか」と
心の中で思ったけど、何も言い返せなかった。
そんな思いを抱えながら見た紅葉は、心ここにあらずだった。
それから一年経ち、Hとは紅葉を見た数か月後には縁がなくなり、
そして私は再就職をした。
東京には数多く会社があるのに、なんでまたこの街にあるのかと、
その巡りあわせに、「出てきやがったな」的な憎々しさを感じた。
何を隠そう半年通った事業所も、
Hと最初に会った日や、待ち合わせでよく訪れた街でした。
このときの方が、まだキュンとしていたかも。。
誰かを好きになり、その人との付き合いがダメになると、
ゆかりのある街や場所へは近づけなかった私。
そして今、
昼食を摂るために外へ出て、あのハンバーグ屋の前を通る。
駐車場の横も通る。
成長の証というと、周りは大袈裟に思うかもしれない。
でも、私はこれに苦しんでいたのも、私の中での事実だ。
不慣れな環境で緊張が続く中、
昼休みのわずかな時間に一年前の思い出に少し浸ることで、
自分を甦らせて午後の業務のチャージをする。
まさか一年後にこの街に来るとはと思いながら、
午後の業務に就くため、いそいそと往くのだ。