ニューイヤーズブルー

 皆さま、明けましておめでとうございます。
今年もよろしく…なんて言ってる間に3が日が過ぎ、
オフタイムもあと僅か。そろそろ仕事モードに
切り替えなくちゃね。
 さて今年のお正月は、年末年始に撮りためた
TV番組をまとめてだらだらと観たのだが、それが
殆ど夫に頼まれて録画した「相棒」の再放送シリーズ。
このシリーズ、結構面白くて私も好きなのだが、
そのなかに、話題作と言われたらしい「ボーダーライン」
があって、それ観たら、元旦早々ブルーな気持ちに
陥ってしまったのだった。
 ご覧になった方もおられるかと思うが、ざっと
粗筋を記すと、それは一人の若者が刃物で傷つけられ
ビルから転落死した殺人事件から始まる。お馴染み
杉下右京警部とその相棒の神部尊警部補が、その若者の
死までの足跡を辿る。
 彼は就職氷河期世代の35才。
派遣労働を余儀なくされ、何回も契約切りや解雇に遭い、
アパートも引き払う羽目になる。兄に頼ろうとするが
「自分の家族で精一杯」と断られたうえ、「もっと
しっかりしろ!」と叱咤される。結婚を約束していた
恋人にも愛想をつかされ、悪質な日雇労働で搾取され、
一生懸命勉強してとった医療保険事務の資格も
未経験では職には就けない。
 役所に行き、生活保護を申請しようとするが
「65才以下の人はダメ」とか「扶養可能な親族が
いるとダメ」とか言われて「若いんだからがんばって」
と追い返されてしまう。ここの場面何ともリアル。
 違法な名義貸しに手を染め、やり過ぎてそれも
行き詰まり、ネットカフェを根城にスーパーや
商店街の試食でやっと生き延びていた青年だったが、
自分が出た後ずっと空き部屋だったアパートに
入居者が来たのを知る。そこを住所にして何とか
仕事を探していた彼は、もうそれもできなくなった
ことに絶望する。彼は医療保険の教科書で勉強した
知識をもとに、他人に刃物で傷づけられたように装い
身を投げて死んだのである。
 最終場面、一部始終を青年の兄に話して
右京さんは言う。「彼は社会に殺されたのです」
殺人事件の犯人は「社会」だった?!
刑事ドラマの結末としてはかなり異色。
観た後の気分も異色。
 この気分に追い打ちをかけたのが、またもや「相棒」。
これは録画じゃなくて、1日放送の新年特別版。
これがまた、ひとり親世帯の補助金引き下げと
「就労センター」設立のために企まれた「福祉衛生省」
による意識調査のデータ改ざんと、そのデータを掴んだ
ジャーナリストに絡んだ殺人事件の話。
またもやその終盤、中村橋之介扮する犯人、役人上がりの
エリート公安部長が右京さんの取り調べで言い放つ。
「いくら弱者を救ったって何ら国益には貢献しない。
それを助長しようとする奴らは国家にとって悪だ!」
右京さんも負けない気迫で言い返す。「誰のための
国家か。そんなことを言うあなたの方が悪だ!」と。
 このやりとりにまざまざとこみあげるあのときの
あの怒り。忘れもしないサンプラザ相談センター
閉鎖が国会の決議を通ったその日。「何とかして!」と
詰め寄る私たちカウンセラーに、厚労省上がりの理事が
言い放ったあの言葉。「あいつら(来談者)は国家の
クズだ。そんな奴らのために何もすることはない!」
 折しも今年は「困窮者支援自立支援法」に基づく
相談支援のモデル事業が次々と立ち上がることが
予想されている。ドラマじゃないんだからまさか
データの改ざんはないだろうが、それに類することは
あるかもしれないし、政治家や役人には多かれ少なかれ
「弱者」に対する「クズ意識」はあるのだろう。
 新年早々何とも重い気分が胸にこもる。
こんなドラマを観てしまうというのも何かの因縁か。
いやいや、こういう風にある種の共感に嵌るのは
私の悪いくせかもしれない。今年は例年に増して
自分の目と考えを明確にしておけということだろう。
気が抜けない一年になりそうである。
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