NPOの課題

 先日渋谷フォーラムで会った谷口さんの率いる「NPO法人ぱれっと」が取材に来てくれました。月刊の広報誌に「NPO紹介」の欄があって、そこに載せて下さるとのことです。いやぁ嬉しいですねぇ!
 いらしたのはぱれっとの運営する知的障害者のグループホームで働いているHさん。若くて元気な方でした。でもとても大変な仕事ですから、スタッフのストレスも大きいとのこと。スタッフ同士の人間関係もときに難しいこともあるようです。いろいろと工夫して今はうまく廻っているということでしたが、「カウンセリング」や「グループワーク」の導入も考えていらっしゃるということで、話がはずみました。
 グループホームの運営も楽ではなくて、今度「自立支援法」が施行されると、運営費が減額され、現在の支援体制が維持できなくなるとのことです。「自立支援法」というのは、「福祉の縮小」を目指す法律なんですね。確かに過度な保護を感じるところもありますが、公費が担わなければいけないところは、きちんと手厚くして欲しいと思いました。
 先日のTVで、「フリーターの自立支援」を事業として経営している男性を取り上げていました。この人は自身も元フリーターで路上生活も体験したことがあるといいます。地方から出てきているフリーターの中には、仕事がなくて家賃が払えず「ホームレス」になってしまう人も多いということでした。彼はそういう人たちのために宿舎も用意して、仕事を斡旋し、自立へと導く事業を展開しているとのことでした。
 彼は「事業化できる支援は民間が担えばいい」としながら、「本当のホームレスの支援は僕たちにはできない。そういうことは行政がしっかりやって欲しい」と注文をつけていました。それを聞きながら、これからの福祉には「めりはり」と「きめの細かい施策」が必要だと感じました。
 私たちNPOはボランティア団体だと思っている方たちも多いようですが、そんなことはありません。左下「良くあるご質問」の「NPOってどんな組織?」を読んで頂くとお分かりかと思いますが、NPO法人も立派な事業体です。但し一般の企業のように「利益を追求し、それを投資家に配分する」ということはしません。社会性がある分野でしか設立が認められていないので、「利益」という概念はNPOにはなじまないと言えます。しかしただ寄付金や助成金だけに依存した経営では存続そのものが危うくなってしまいます。
 私たちNPOも上記の男性のような事例から学ぶべきものがあるように思います。「福祉と事業」という一見「水と油」のような両者を、どの分野でどう実現していくかがこれからの課題になるでしょう。
 反面「行政との連携」もなおざりにはできない課題です。「ぱれっと」の月刊誌で取り上げられた我がNPOの紹介記事についたタイトルは「どうなってる渋谷!」でした。NPO同士がネットワークを広げ、声を大きくしていくことも大切な課題ですね。

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