先週の金曜日には、キャリアサポーター養成講座・応用実践コースの
第7回目が行われましたが、その際、高瀬講師が面白い参考文献を
持参してくれました。
精神科医北山修氏の「コラボレーションとしての心理援助ー
共演すること」という論文で、「臨床心理学」第8巻2号(2008年3月)
に掲載されたものです。
北山修氏といえば、かの昔、フォーククルセダーズというグループで
「オラハシンジマッタダ~」と歌っていたのを思い出してしまいますが、
今は精神科医として堂々たる活躍ぶりです。
いや何とも華麗なる転身、これぞまさしくキャリアアップの鑑ですね。
ってなことはさておき、件の論文ですが、この中で氏は、優れた
パフォーマーが必ずや持っていると思われる、「演じている自分を
背後から見つめるもう一人の自己」である「背後自我(backing ego)」
について論述しています。
野球選手の古田や松井秀喜の発言を例に引き、それに続いて
世阿弥の説く「離見の見」、「目前心後」に言及し、「クライエントを
相手にする職業人として、演者としての自覚が深く求められる
ことになる」と述べています。
この論文でも取り上げられていますが、「演技や役に没入する自分
と、それを醒めた目で見つめる自分との二重性を生きることが優れた
演者の要件だ」という演劇的観点を、臨床での面接技法論に移行させた
のが、精神分析研究家の前田重治です。
彼は、「第一の目」、「第二の目」、「第三の目」という言い方をして
いますが、それぞれ、「相手を観察する目」、「相手から見える自分を
見る目」、そして「自分を含めて2人の関係を見る目」、ということに
なります。
北山氏は、「第三の目」とは「ステージの構造論で言うなら、バックの
伴奏者や共演者の視点、照明、演出家やスタッフ、装置の担当者たち
の位置にある目」だと言います。
そして、演者の演技が、自分には見えないバックを含めて、全ての
バックへの信頼に支えられているように、心理臨床においても、面接室
の内外を問わず「バックのバッキングに対する信頼感が中身を左右する」
と言っています。
以前このブログでも書きましたが、私はかの昔、相当な「演劇少女」
でした。現在カウンセラーという職業についていることが、それと
つながっていることは常々感じるところです。
北山氏みたいに「華麗なるキャリアアップ」とは言いがたいですけどね。
不肖元演劇少女かなりんの「演劇とカウンセリング」に対する所見は、
以前このブログに書いたことがあります(こちら)
この頃はメンバーの間でも「劇団CSN」を結成しよう!なんて
盛り上がっていたのですが、(これとかこれ)
いつの間にかぽしゃっちゃいましたねえ。
まぁ、私ももう少し余裕ができてからやればいいと思っていたのですが、
こんな論文を読んじゃったら、もうやるっきゃないでしょ!ですね。
そんなわけで、俄然火がついちゃったかなりんの「演劇魂」ですが、
はてさて燃やし尽くすことができますやら。
頼むはメンバーの「役者魂」。
これも「修行」の一環と覚悟して取り組んでくださらんことを!
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