先日、情報番組で「51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ」
という映画が、紹介された。
2006年、中国・成都のパンダ研究基地に誕生した
体重わずか51グラムのパンダの赤ちゃん「ウーイー」の
成長を追ったドキュメンタリー映画だ。
このようなドキュメンタリー動物映画にめっぽう弱い私は、
たまたま見合わせた番組とはいえ、もうボロボロ涙を流して見ていた。
その中で、パンダの出産について触れていて、
番組の解説では、パンダは一回の出産で双子を生むケースがよくあり、
今回の映画でもそれが題材の中心として描かれている。
産み落とされた赤ちゃんパンダは、私たちが想像するパンダから縁遠く、
ややグロテスクな印象さえ受けます。
話の厳しさは、この先にあった。
母親パンダは、双子の一番目を産むとすぐに大事に手で包んでやり、
ぺろぺろとカラダを舐めては、ひたすら温めるてやる一方、
二番目が生まれても、気づかないのかそっちのけ状態。
なんでも母親パンダは、
一番目を産むとその子こそわが子と思い育てようとするが、
二番目はまったくの無関心になり、
最低限の温める行為すら放棄する傾向にあるという研究結果があるそうだ。
今回の映画でも、二番目に産まれた赤ちゃんは研究結果のように、
産み落とされると冷たいコンクリートの上でウネウネしているだけで、
ただでさえ敏感な状態なのにほったらかしで、
鳴き声も出さなければ、きっと目もみえないのだろう。
その横では、一番目のパンダを大事に抱える母親パンダの姿。
そのままだと赤ちゃんの命にかかわると判断し、
研究基地の職員が檻からパンダを連れ出し、保温器でカラダを温めてみたが、
長時間外気にさらされていた体温は著しく低く、
最初は命すら危ぶまれていたが、献身の世話の末ようやく平温に戻った。
この時の体重が通常の1/3、51グラムしかなかったことから、
中国語で51を表す「ウーイー」と名付けられた。
映画の公式HPにあるパンダトリビアを引用すると、
パンダの世界にも「想像妊娠」や「育児放棄」があって、
子育てが出来ないお母さんパンダがいるのと同時に、
自分が産んでいないコパンダを育てる「代理母」のような存在もいるのそうです。
赤ちゃんパンダの生育には、仮に保温器で人工的に育てても限界があり、
最後には母親パンダの母乳と暖かさが必要不可欠だとのこと。
一度は母親パンダに知らぬ顔をされた、ウーイーの運命はいかに?!
パンダに限らず動物の生態や、
過酷な自然界を生き抜く動物の姿をみるにつけホロッとしてしまうのは、
それを見るそれぞれの人間がもつ生命や生きることのなにかに、
重ねあわせてしまうからだろう。
「自分が生きていること」を考えられるのは、感情をもつ人間だからというが、
それであるがゆえに不自由なことも往々にしてある。
果たしてそれは幸なのか不幸なのかは、
生まれてきたんだから生きてみなくちゃわからない、
人間のさだめのようなものだろうか。。。
※映画HP/「51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ」