カウントダウン・Forty

24日の3日前。
職場では季節柄、掃除関係の業務がメインになっていた。
統括する各センターから届いていた産業廃棄物を、
一括で専門業者へ引き渡す作業があった。
「これ不燃と書類が一緒ですよ!」と業者の喝が入り、
あれだけ社内通達していたのに、やはりこういうことは起きる。
結局全部の段ボールを見直して搬出が終わると、
「これは捨てれる?」と、終わったそばからごみを出し始める。
もう、知りません!!
私の前任者が、なにやらキャビンを磨き始めた。
「なにをしているんですか」と聞くと、
「こうやってキレイにすると、来年も使う人が気持ちよく使えるでしょ」って。
この人が慕われるのが、なんとなくわかる気がした。
私もごみごときで、カリカリしていては身が持たないな。。
それが終わると、三連休だ。
24日の2日前。
通称「女子会」があった。
女2人に男の私の計3人で会う食事会で、
最近の近況を話したりしている。
一人は職場でパニックに陥ってから休職をし、
その傍らで遠方に住む父親の看病をする生活を長いこと続けてきた。
その父親が先日他界し、私はどうなるかと思いきや、
「こんな日は予約しなきゃダメよ」と率先して仕切ってくれた。
もう一人は、かつて有名企業に入社するも倒産の憂き目に遭い、
派遣社員として大手企業を渡り歩いてきた。
現職場で出会いがあったそうだが、
昨年病に伏せた父親は余命いくばくもない状況にも関わらず、
「この間こんなことあってよ~」と、私以上に勇ましく語った。
二人とも、16年前にバイト先で知り合った。
私の年下だが大変口が達者で気丈なのに、それでいて気を使うタイプだ。
数年前に、ゲイであることを打ち明けてから、
かつて無邪気に遊んでいたころと違い、
話題に両親や結婚といった身近なことも話すようになった。
私も、もう少し地に足の着いた考えをしなきゃダメかな。
24日の1日前。
なんとなく調子が悪いながら、ゲイバーで飲む。
飲む回数が増えると、比例して顔見知りも増え始める。
このときも「久しぶり~」と、
私よりやや年上の「サブちゃん似のねーさん」が座り、
この人の恋愛話になった。
なにやら、このバー主催の忘年会で素敵な人と会い、
声をかけたら一緒に飲もうと言うことになり、
ものすごくウキウキになったそうだ。
よく聞くと、ねーさんはその男と寝ることを思惑としていた。
二人で場所を変えて飲み、なんとなくいいムードになったのに、
ねーさんの口説きをあっさりかわし、さっさと帰りやがったそうだ。
ねーさんは、なんでダメなんだろうと私に問いながらグイグイ飲み、
いつしかカウンターで寝てしまった。
ゲイは年齢を重ねて一人だと、なかなかパートナーができにくいそうだ。
私は悪寒を感じ、いつもより早く家路についた。
24日当日。
風邪をひいた。そして、40歳になった。
就業という過度な緊張が続き、ホッとしたところで少し遊びすぎたかな。
40歳なのに。。なんてことを自戒しつつ、ベッドの中でグズグズして過ごす。
前日に、とある方から着信があり折り返すと、
「バースデーに風邪??」を二回繰り返し言われた。
タイトルの意味には、
40歳になることが時限爆弾が爆発しそうな焦りを感じていた。
それは、30代でしかできないこと、30代だから許されることが、
全て消えてしまいそうな気がしたからだ。
職場のワンシーンも、女子会での一幕も、ゲイバーの会話も、
30代のうちにもっと経験したかった。
じゃあ、30代と40代の違いは何かと言えばなんだろう。
社会的には責任とかステータスというが、私には今更という気もする。
そんなの気にしないという気持ちこそ、そういう世間性を拭いきれない私なんだと。
そして、いやでも年齢をかさねる事実。
40歳という節目を、とても大きな壁のように感じていたが、
いざ迎えると、意外とあっさりしたものだ。
でも、実際の壁はまだ立ちはだかっているのだろう。
40になった私は、こうして年齢を重ねていく。
色々な人と出会い、話を聞き、そして私はまた来年に向けて年齢を重ねる。
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