乾いた胸、溜め息で潤し

帰宅後の楽しみのひとつに、
20年以上前のドラマを観ることがある。
当時は嫌いで見なかったのに、
今になって見てみると案外充実感がある。
現役で活躍中の俳優陣の、
若く美しく凛々しい当時の姿にタメ息が出たり、
セリフひとつひとつの言い回しに、
乾いた胸がしっとりするのだ。
特に大正から昭和初期を題材とした作品だと、
男女が手を握るだけでも大変で、
おんぶをしてもらおうものなら「嫁入り前の娘がはしたない」と、
いかにも日本の古いしきたりを感じさせる言葉が随所に出てくる。
今の時代は自由に物事を考え、恋愛し、暮らせる時代だ。
しきたりほど不具合なものはないだろうが、
これがちょうどいい足かせになっているのかもと、
見ていてふと思う。
しきたりこそ私は苦労したもののひとつであるが、
それがまったくないというのもどこか物足りない。
それよりも私がこの年齢になって、
ちょっと冷静な視点をもったとしても、
日々そういうものから遠のいているぶん
ベタな恋愛物のドキドキ感は、見ているだけでもため息が出るものだ。
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