七色のはじまり

なぜかレギュラーになったということで、
ちと自分のことについても書いてみようかなと思います。
今年のコールデンウィークのとある日、
両親とともに、入院している父方の親戚の叔父さんを見舞い
その帰り、母が上京してまもなく勤めた食堂の元オーナーの奥さんが 営んでいる小料理屋へ行きました。(この時点で複雑…)
奥さんはお客さんがいるにも関わらず、
突然の来訪に歓迎してくれ、
近所に住む奥さんの息子Iくんも呼び、
わいわい飲んでは食べたりしました。
その会話で、「405が小さいとき“Iくんはいいよな、
お父さんに可愛がってもらって” と、言ってたよな」と、
話し始めました。
これを聞いて、自分では気づかないでいた幼い頃の感情らしきものを
味わい初めていました。
このIくんとは、現小料理屋の奥さんが元食堂のオーナー夫婦だった

三人兄弟の末っ子として生まれ、
自分は両親がこの食堂で住み込みで働き始めて生まれました。
オーナー家族とうちの家族は血縁関係もないのに非常に仲むつまじく、
ひとつ屋根の下ということもあり、交流は家族そのもので、
うちの家族がその食堂を離れてからも、こうして会い続けるほどです。
そういう環境下で自分は一人っ子なのに、
なぜか兄弟らしき人がいるという状況で成長してきました。
ですが、オーナー夫婦の旦那さんは家庭を顧みないタイプで、
自分の父がその三人の父親代わりになることが多く、
それは奥さんと自分の父が夫婦ではないかと間違われるほどでした。
そして物心ついたころ、自分はある否定感を持っていました。
それはその三人の子供の内の一人のIくんに対してです。
Iくんは明るく元気でおもしろく、
病気がちでありながらも素直に甘えられるタイプで、
自分はボンヤリしてどんくさく、無口な性格なので正反対です。
また当時の体型は肥満で、
いつも「将来はお相撲さんね」なんて言われてたりしていました。
なのにスポーツ嫌いという性根もあり、
スポーツ大好きの父からしてみたら、
なんて取るに足りないのかななんて思っていました。
父はIくんを非常に可愛がり、
わざと父にからかわれるようなことをしたり、
ちょっかいだしたりと子供ながらに映ったその光景は、
本当の親子のようでした。
自分はと言えば何か父に怯えるような感じていて、
甘えてみたいけど甘え方がよくわからなく、
ちょっかいだしようにもそのやり方がわからない。
元気な男の子みたいに振舞うことすら、
自分には酷というのかできないでいたのです。
それはわがままに振舞うと、
Iくんに父を取られてしまうとか 言うことを聞かないと、
捨てられてしまうとか言うことなのでしょうか。。
これが「見捨てられ不安」の始まりなのかな。
そしてその否定感の根源のIくんからも、
ストロークをもらっていました。
体型で「デブ、ブタ~」と言われていたり、
下半身のことをからかわれたりと、
それもそれで子供ながらにショックというか
「あぁダメなんだ」と思っていたのでしょう。
「Iくんはいいよなぁ」は、
そんな幼い自分が感じた率直な感じなのかもしれません。
そんな自分に対して、父は何をしたのかわからないのです。
確かに、休みの日は時間を見つけて父も好きだった交通博物館へ
連れて行ってくれたり、良い子にしていた褒美に
毎月一回おもちゃを買ってくれたり、物質面での愛情は注がれていた。
なのに、憶えてるのは「恐い父」でした。
しばらくしてIくんは、
「俺は愛情を注がれていなかったんだ…」と言いました。
すると父は血相を変え「何言ってるんだ!親がいて、何不自由なくて…」と
父がしてきた子育てを雄弁するかのごとく語り始めました。
驚いたのはその一言に対する父の反応でした。
これって一体。。みたいな気持ちです。
幼い頃の父は両親を早くに亡くし物質面が不自由で、
非常に苦労をしたと聞いています。
その強烈な想いは、自分の子供にはそうはさせまいと思う
父なりの想いなんでしょうね。
それでいて「見捨てられるのでは」と感じていた自分の対比としては、
どこかに父の脚本が根底にあったのでしょう。
そういう父から私は成長してきたのですが、
今それを言われても、もうそれでしかなく、
自分には自分の想いがあるみたいな感じでいます。
なので「Iくんはいいよなぁ」を聞いた気持ちを味わうとしても、
今更なんだろうという気持ちでもあり、
幼くして感じたこの否定感を癒してあげたいようなそうでもないような。
ただ実感としているのは、それらの経験から幼児決断で
「父の前では装うこと」に徹し
父の基準に合ったカメレオンでいることじゃないかと思う。
それは今でも慣行していることだと思います。
幼い頃の感情と装いを徹してきたことは、
自分の一部の感情を染めて生き続け、今の自分がある証のようです。
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