夏の色

ギラギラ照り付く太陽と海。
故郷、鹿児島の海はもう何年も見ていない。
生まれ育った出水市(いづみ)は、水俣の隣で鶴の渡来地でもある。
小学校の春の遠足は歩いて潮干狩りに行くのが恒例だった。
日差しが強く、真っかにただれて寝るにも背中が痛かったのを昨日
の様に思いだす。
空と海のブルー、松のグリーン、砂浜のグレー、太陽の赤と金色。
ふっと思い出す夏の色。懐かしく思い出す青い瓦と庭の花々。
父が亡くなってから8月3日で20年が経つ。
実家には廊下が有り、そこから夏の夜空を見上げるのが大好きだった。
天の川を挟んで煌めく星は、まるで手で掴めるように近く、さそり座、
白鳥座、カシオペア座、北斗七星・・瞬く間に幻想の世界に入り込む。
近くの川にはホタルがいた。海、山、川、そして平野。
なんて美しいところに住んでいたんだろうと思う。
母は7年前に出水の実家を処分し、千葉に引っ越して来た。
広い家に一人で住み、寂しげだ。
父は肺癌を発症してからは3か月の命だった。
生前、父は母との意見の対立が多く、夫婦喧嘩が絶えなかった。
いつも、仕掛けるのは母で、理論交戦に負けるのは父だった。
傍から観ている幼い私達は、母の気性の激しさに恐れを抱くばかりだった。
そんな母は父が亡くなってからは気性の激しさが影をひそめ、生前の父に対して
優しく接する事のなかった自分を後悔する日々を過ごす事が多くなった。
私は3人兄弟の真中で早くから独立心旺盛で、我が道を親の心配には目もく
れず、ひたすら走り続けた。
気が付くと、母は私に姉と弟に関する心配事を愚痴のように繰り返し話すよ
うになっていた。そんな母に自分の悩み事を話しても仕方がないと抑圧しな
がら、母が私に言って欲しいだろうと思う言葉を発っしていた。
しかし先々週、千葉の母に会いに行った時、予想もしなかった事態に私は驚
いた。年老いた母の心配症と愚痴には慣れていたが、近所の人達が母に対し
て悪意を抱いているという母の被害妄想的発想に、あからさまに眉を顰めた。
自分の考えが絶対だと譲らない母の考え方に怒りと憤りを覚える。
長年、自分だけが我慢すれば丸く収まると思っていた事が今は許せない。
今暫くは自分の感情に焦点をあててみる事にしよう。
パーソナリティー障害の分類は色々あるだろうが、母の偏りは依存性、妄想
性、自己愛性にあるように思う。
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