「自分らしく生きる」

仕事を終え1Fに降りるとクリスマスツリー。
そしてエントランスを出ると正月の門松。
何だか和洋折衷で不思議な気分。
ナンヤカンヤと言いながら今年一年の仕事が今日で終了した。
去年の今頃は、職場の組織編成に振り回されて四苦八苦していた
のを昨日の様に思い出す。結構辛い毎日だった。
そんな日々が、いつの間にか過ぎ、今に至っては万事旨くいったと
いう安堵感と達成感で一杯になった。
自分に対する肯定感は、久々に感じるものだった。
仕事が順調に流れる事は自分にとって大きな安定剤となった。
今年の前半から夏にかけての焦燥感も、すっかり影を潜めた。
焦燥感の正体は劣等感だったのだろうか?
今思えば、随分背伸びをしたくて焦っていた様にも思える。
あまりの焦燥感に、エネルギーの発散場所を求めて日夜奮闘していた。
自分が何をしたくて焦っていたのか見当もつかなかった。
しかし、そんな焦りが急に減速した。
それは、日本経済新聞の「私の履歴書」に連載された物理学者の記事を
まとめて一気読みした時に起こった。
去年の今頃だったろうか?日本人3人の共同ノーベル物理学賞受賞は。
その中でも特に記憶に残っていた・・「益川敏英」・・。
正しく、この人の記事だった。
「私の履歴書」①のタイトルは「へそ曲がり人生」だった。
このタイトルが気に入ってしまった。第一印象とピッタリのタイトル。
そして気に入った、もう一つの理由は私自身の性格が「へそ曲がり」だ、
という事なのだと思う。
ひと月に亘る連載の内容に、すっかり癒された。
「へそ曲がり」だと言いながら、後先考えない愚直な部分・・ノーベル
物理学賞受賞の大先生と自分を重ねるなんて恐れ多いものだとは思う。
しかし、雲の上の人だからこそ癒されたと言える。
ひょんな事から出会った六角橋のコーヒー専門店に、今日行って来た。
そこで弾き語りによるライブが有った。2週間前から楽しみにしていた。
少人数の常連さんとマスターの弾き語りだった。マスターの作詞は201曲
有るのだと説明していた。
歌手としてのマスターに対する私の勝手な評価は今一。作詞家としての
評価は、エッ?何?・・単純な詩、日常的で身近に感じるサラリとした
何の変哲もない詩・・しかし何故か癒された。
75分位のライブはアッと過ぎた。特に歌に感動した分けでもなく、印象に
残った歌詞が有った分けでもない。躍動感も無い。特に訴えかけてくるも
のも無い。ギターの音程も時々狂う。アレッ?
しかし、直向きさにジワッと来た。懐かしさで一杯になった。
そして、自分らしく歌うマスターを観て「自分らしく生きる」って、こう
いう事かも知れないと漠然と思った。
ライブを終えたマスターは、普通にサイフォン片手にコーヒーを入れ、歌手
の顔とマスターの顔と全く変わらない様に見えた。両方の顔に隔たりが無い。
これが私の惹かれた部分だった。
素敵な一日だった。そして実り多き一年だった。
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