「フライドエッグ」ご用心!

 先週末は、「交流分析(TA)学習講座・基礎コース」の第9回目が
ありました。今期のTA講座もあと最終回を残すのみです。
 今回は5期目の講座となりましたが、毎回少しずつカリキュラムの
内容や順番に改訂を加えています。TA講座もCSNとともに進化して
いるのですね。
 先週のテーマは「ゲーム」でした。今までは中盤でやっていたところ
ですが、今回は終盤にクライマックスをもってきて、その分最初の方に
一通り理論の概観を見通せるような構成にしました。その方が個々の
概念の結びつき方への理解が深まるように思えたからです。
 「ゲーム」は「ラケット」や「人生脚本」といった、TAの重要な概念と
深い関係があります。「人生脚本」というのは文字通り「人生のシナリオ」
こちらを参照)のことですが、「ゲーム」とか「ラケット」とかいうのは、
無意識にその「脚本」を強化するために行う「不快なコミュニケーション」
のことです。
 「不快なコミュニケーション」というのは、私たちの周りにごろごろして
いますね。特に近しい関係の人とすることが多いのです。それは
「感情に支配されたコミュニケーション」だからです。我が家の例で言えば、
こんなのがあります。
 妻 「ねえ、レンジを使ったらちゃんと拭いといてよ」
 夫 「俺は汚してないぞ」
 妻 「卵のこびりついたのがとれないのよ!」
 夫 「俺がやったんじゃない」
 妻 「だってお昼に卵焼いたのあなたでしょ?」
 夫 「お前さんだって使ったじゃないか!」
 妻 「私はいつもきれいに拭いておくわよ、それに
    私が使ったのは朝よ」
 夫 「とにかく俺じゃない」
 妻 「あなたっていつもそうやって人のせいにするんだからもう!」
 夫 「・・・・・」
 こうやって書いてみると何ともくだらない会話ですが、これで3日は
口もきかないなんてことになったりします。
こんな類のことって結構あるんじゃないでしょうか。
 この日のことを振り返ってみると、私は出かける約束があるのに急に
電話が入ったりして時間に余裕がなくなってしまい、いらいらしていました。
そういう時って、普段は気にならないようなことが妙にひっかかったりする
ものです。そこで子どもっぽい怒りが湧き上がり(「子ども」の自我状態)、
その感情に任せて言葉が出てしまったのですね。そうすれば夫の方も
感情的(同じく「子ども」の自我状態)になる。結局お互いに嫌な思いを
しただけで、「レンジを使ったらちゃんと後始末をして欲しい、ということを
夫に伝える」という肝心の目的は遂げられぬままになってしまいました。
 そこで、上記の会話をA(「大人」の自我状態)が関与したものにしてみると
こうなります。
 妻 「ねえ、レンジを使ったららちょっと拭いておいてくれると
    助かるんだけど」
 夫 「汚れてたか?」
 妻 「うん。卵って時間がたつとこびりついてとれなくなっちゃうのよ。
    だからすぐ拭いてくれればノープロブレムなんだけどね」
 夫 「分かった」
 これは、数日後にまたレンジに卵のこびりつきを見つけたときに実践して
みました。お陰で今は卵のこびりつきが放置されることは殆どなくなりました。
 ワッと湧き上がった感情に駆られて、それをそのまま言葉や態度で
示すことを、「フックを出す」と言います。このときの自我状態は「子ども」が
支配していて、「大人」が全く関与していません。フックを出している当人も、
それに引っかかってしまう相手も無意識のうちに「ゲーム」に突入し、
その結果「嫌な感じ」という「景品」を得るのですね。
本当にこういうコミュニケーションは不毛でいやなものです。
 こうした「ゲーム」をしないためには、極力「自分からフックを出さない
ようにする」ことと、「相手からフックを出されても引っかからないように
する」ことが大切です。自分が出すフックより相手から出されたフックの
方が気づきやすいので、その都度引っかからないようにしていれば、
相手も余り出さなくなるか、近寄ってこないようになります。
 しかし前述したように、「ゲーム」というのは、その人の「人生のシナリオ」を
強化する、という隠れた目的があります。「いやな感じ」という「景品」は、
「自分は駄目だ」とか、「他人は駄目だ」とかいう否定感を強めるのに役立つので、
ときどき欲しくなってしまうのです。「脚本」というのは、否定感から生じ、
それを証明する結末へと進んでいくものなので、常にそれを確かにしておく
必要があるからです。
 だから根深い「脚本」を持っている人のなかには、かなりヘビーな「ゲーマー」が
います。こういう人につかまりそうになったら、「自分から遠ざかる」という手も
ありますが、家族とか職場とかの場合はその手が難しいので、「距離の調節」とか
「ストレスの発散」を上手にする必要がありますね。
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