何ヶ月か前に行政の「電話相談」を担当している
ボランティアさんたちへの研修講座をお引き受けした
ことがあります。そのときにテーマの一つとして
出されたのが、「死にたい・・・」と訴える相談者に
どう対応したらいいのか、というものでした。
「電話相談」というのは、どこでも相談内容がかなり重く
なりがちなのが特徴です。良くも悪くも「顔が見えない」
ということが影響しているのだと思われますが、ボランティア
さんたちの手に余るようなケースも多く見受けられ、
そのなかで頑張っている皆さんに頭が下がりました。
ケースの話を一通り聴いた後で、私はちょっと皆さんに
質問をしてみました。「皆さんは今までの人生で『死にたい』と
思ったことは一度もありませんか?」。一瞬ハッとするような
沈黙があり、それから殆ど全員の方が手をあげました。
「何度もあるわ」という呟きも聞こえました。その中の一人が
苦笑しながら「そういえば思い当たるのに、普段はそんな
こと忘れているんですねえ」と感慨深そうにおっしゃいました。
日常をつつがなく送っていくには、「死にたい」などと
いう想念に囚われているわけにはいきません。その思いは
話される機会もなく、記憶の襞深くにしまいこまれて、
あることさえ忘れています。しかしそのときに抱いた苦しさや
辛さは消えてしまったわけではなく、心の奥底に沈殿して
何かの折にふっとこみ上げてきたりするのです。
誰にでも覚えのある感情として「死にたい」という言葉を
捕えたとき、それは自然に共感の気持ちを生みます。
「その気持ちを大事に話を聴いてください」と、ボランティアの
方たちにお話しました。
はからずも今回「心に効く代々木の森のワークショップ」と
銘打って、CSNが開催した合宿エンカウンターグループは、
参加したメンバーがそれぞれに心の奥深いところに沈む
そんな思いを吐露するような場となった印象があります。
(NPO活動カレンダーに記事を掲載しておりますので、どうぞ
ご覧ください)
1泊2日という短い時間でしたので、充分に思いが出せずに
不全感が残ってしまったメンバーもいるのではないかと
気がかりですが、今後の振り返りや個別のカウンセリングで
フォローしていきたいと思っています。
昨日のブログでA子さんも書いていましたが、参加した
メンバーはさぞ疲れたことでしょう。その疲れを越えて、
今回の体験がこれからの時間のなかで醸成され、ジワリと
「心に効く」良薬となることを切に願っています。
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