未練じゃないかよそんなもの

 新年度が始まって3ヶ月。
今年は花見もしたし、総会も開いた。
新プロジェクトも発足し、先月からはSVクラスが始まった。
これからは結構忙しくなりそう。
 そんな日々のなかで、何かが溜まっていく。
密かに、気づかないほど僅かずつ溜まっていく。
じっと内に意識を向ければ見えてくる。
心の澱のようなもの…。
 身体がだるい。
何となく浮き立たない。
浅瀬に身を留めるエネルギーが切れそうだ。
 じわじわと侵食してくる怒り。
細胞の一つ一つに重く沈みこんでゆっくりと増殖する。
身に覚えのある感覚だ。
苦い唾を飲み込む。
 学生時代。
薄汚い格好でほっつき歩いている私に母が言う。
「小さいときはかわいかったのにねえ…」
「うるせえ!」
手にしていたグラスを母に向かって投げつける私。
殴りかかる母。殴り返す私。
 ちゃらちゃらと身を着飾って口紅つけたバカ女たち。
おしゃれと男と芸能人の話しかしない頭の空っぽな女たち。
次々と強姦して殺してやりたい。
心のナイフを研ぎまくり、胸に暗い炎燃やしたナインティーン。
 コンプレックスの塊は焼いて食べた。
皿もきれいに洗ったけど、私が私でなくなったわけじゃない。
あの頃の私が今の私に嫉妬する。
戻っておいでと囁きかける。
 堕ちていく…深みへ。
憎悪と敵意に満ちた澱にまみれて抱き合う
19の私との蜜月。何という快感!
 ここには長くいられない。
因果を含めた別れ話は、激しい愛撫に遮られる。
ミイラ取りがミイラにならぬ保証はどこにもない。
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