一味の違いを支えるもの

 今日はクライエントさんからの依頼で、
当NPOの法律顧問である設楽先生の事務所をお訪ねした。
顧問と言っても報酬なしのボランティアでやってくださっていて、
私たちにとっては何とも有難く、心強い存在なのである。
 先生とはサンプラザ相談センター以来のおつき合いである。
センターには隔週で法律相談が設定されていて、東京弁護士会から
1年毎の持ち回りで弁護士さんが派遣されてきていたが、たまたま
センターが閉鎖する年に担当してくださったのが先生だった。
まだ30歳そこそこの若い先生だったが、クライエントさんの話を
とてもよく聴いてくださる方で、カウンセラーたちの信頼も
厚かった。最後の回には相談終了後に私が挨拶に伺ったのだが、
「ここが無くなってしまうのは本当に残念ですねえ…」と
しみじみとおっしゃって、心なしか涙ぐんでいらしたのを覚えている。
 センターの閉鎖後、私たちがやっとの思いでNPOを立ち上げたのと
時を同じくして、先生も京橋に事務所を構え独立なさった。顧問を
お願いにあがると快く引き受けてくださり、「顧問料はお払い
できないんですけど…」という何とも図々しい条件も「いいですよ」と
あっさり承諾してくださった。「僕も独立したばかりですから、
その厳しさは十分わかりますよ。お互いに頑張りましょう」と励まされて
感激しきりであった。
 その後先生には、電話でアドバイスを頂いたり、何件かのケースで
実際にお世話になったりしたが、いつもとても良心的に対処して
くださって助けられた。このところしばらくお会いする機会が
なかったが、今日久しぶりに再会できて、変わらぬ誠実な先生の
たたずまいに触れ、何だかとても懐かしい感じがした。
 帰り際に先生と短い会話を交わした。
「新地さんとも随分お久しぶりですね」
「私たちのNPOももうかれこれ10年になります。先生も
 同じ時期に独立されたのですよね」
「そうです。来年で足かけ10年です。あっという間ですね」
「これからもお世話になります」
「お互いに頑張りましょう」
 先生は法律扶助協会や法テラスのボランティアも積極的になさっていて、
社会に対するボランタリー精神が非常に旺盛な方である(そうじゃなきゃ
貧乏NPOの無給顧問なんか引き受けないよね)。一方で仕事に対する
熱心さ、的確さにはサンプラザ時代から定評があり、いかなる分野の
どんなケースにもきちんと対応してくださり、参考になる判例の資料などを
素早く送ってくださるなど、お願いした以上のことを実に迅速にこなして
くださった。同僚のNカウンセラーなどは、「う~ん、すごい!これがプロの
仕事ってもんだ」とその度に感心していたものである。
 昨日の405のブログにもあったように、独立して何かをやろうと
いう人の仕事の仕方はどこか違う。私はこれまで老若何人かの弁護士さんと
仕事をさせて貰う機会を得て、彼らの優秀さや苦労には文句なく敬意を
覚えるのだが、設楽先生にはやはり何か一味違うものを感じるのである。
それは、多分あくまでもクライエントの立場に寄り添おうとする先生の
姿勢からくるものなのであろう。若くして独立し、金儲けにはとんと
縁遠いように見える(失礼!)先生が、変わらぬ姿勢で仕事を続けて
おられることに、勝手に「同志」のような親近感を抱いてしまうのである。
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