そこに生まれ出づる「格差」

 おなじみI文庫のIさんが、「ニートの歩き方」(技術評論社)
という本を持ってきてくれた。著者はphaという変わった名前の人。
近頃「ニートの星」とか「ニートの憧れの的」とか言われているらしい。
Iさん曰く、「ニートにも格差があるんですねえ」。
 ほう、格差?そりゃまたどんなもんだ?と興味津々で読んでみた。
ふーん、なるほどねえ…。
 phaさんは、6年くらいかけて京大を出た後、できるだけ楽そうな
会社を選んで就職するも、「なんでくそ面白くもないのに毎日満員電車
乗って出勤して、毎日くそ面白くもない仕事をしなくちゃなんないのか」
といやになり、3年でやめてそれから毎日寝たいだけ寝て働かずにだらだら
暮らす「夢のニート生活」に突入。そもそも彼は子どもの頃から
「だるい、面倒くさい、働きたくない」とずっと思っていたんだって。
アッパレ、子どもの頃からの夢を28歳にして叶えたわけだ。
 彼は、自分がその生き方をしたくて、その生き方を選んだんだね。
彼がそこいらのニートと違うのは、ここのところだね。
「格差」はここから生まれるんだね。
京大出とかそんなことじゃないんだね。
 phaさんの飯のタネはインターネットだそうだ。
「本当に今の時代だからできる生き方だ」って当人も言っている。
彼は「適当にアフェリエートをサイトに張ったり、ブックオフの
安い本を仕入れてきて中古で売ったり、大したことはやってない」
って言ってるけど、プログラミングまでできるっていうから、
ネット関連の技術は結構なものらしい。PCいじってるときは
全然苦じゃないっていうから、まあ、私にゃマネできないけどね。
 それに「自分の理想の生き方」に対する追求心も強い。
最初はデポジットのみで住めるシェアハウスを根城にしていたが、
もっと居心地のいい楽しい空間をめざして、「パソコンとかインターネット
とかが好きな人が集まってもくもくとインターネットをする」という
コンセプトの「ギークハウス」というシェアハウスを自分でつくって
しまった。全てネットでの呼びかけから事を為したのだそうである。
 彼によると、ネットというのは、いくらでも物々交換ができるし、
必要なものはほぼただでそろうとのこと。ときにはお金まで貰うらしい。
その代わり、自分に余裕のある時は困っていそうな人に5百円とか千円
とかを送金する。ツイッターで呟けば誰かが応じてくれるし、
リアルにともに暮らす仲間もいるし、一人になりたいときは自由になれる。
食べるにゃカツカツ、全く贅沢はできないけど、同じような仲間とともに
思い通りに楽しく生きられる。まさに「ニート生活万歳!」って感じである。
 彼は、世の中の掟通りに働くのは「だるくて面倒くさい」と感じても、
それ以外の自分の好きなことには結構アクティブである。本も沢山
読んでるみたいだし、今じゃ自分でこうして本まで書いて、講演なんかも
してるらしい。ニートらしからぬ大活躍だ。
 結局は、ニートであろうがなかろうが、自分がしたい生き方を積極的に
選び取ることができるかどうか、ということに尽きるんじゃないかな。
積極的に選択すれば、行動する知恵も力も湧いてくるってことだよね。
世間や他人の価値観に縛られて自分では何も選ばず、現状への不全感に身を窶す。
ニートじゃなくてもそんな人は多い。
これからは、そういう風に「心の格差」が広がっていくのかもしれない。
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