世はゴールデンウィークの真っ只中。
今日は祝日の間に挟まった何てことない土曜日だが、
昨日の3日は憲法記念日だった。
新聞はこぞって憲法改正について書きたてていたが、
日経とテレビ東京共同の世論調査では、現行憲法を
「改憲すべきだ」と回答した人が何と56%にも上るそうだ。
メディアの行う世論調査の結果をそのまま鵜呑みにするのも
なんだが、それにしても改憲派が過半数を占めるとは驚きだ。
「現行のままでよい」とする護憲派は28%。4年前の調査より
5%も下がった。因みに改憲派は3%の上昇とある。
政府はここぞとばかり96条の改正を狙っているらしい。
憲法が改正し難い仕組みを何とか切り崩し、国民投票にでも
持ち込みたいのだろうが、いやはや何ともきな臭い。
日本の憲法は「硬性憲法」である。
通常の法令改正の手続きよりも要件が厳しくなっている
憲法である。ちょっとやそっとでは変更できないように
してあるわけで、然る故に1947年の施行以来実に66年もの
長きに渡りその重みを保持してきたのである。
対して、一般の法律などと同等の手続きによって
改正が可能な憲法を「軟性憲法」と言う。96条の変更とは、
憲法の質を「硬性」から「軟性」に近づけるということである。
くるくると制度が変わる法律と同じように、憲法を変える
ことが可能になるということである。これって結構怖いことだよ。
違憲かどうかが問題になったら、憲法の方を変えちゃえば
いいんだから。
今のところ焦点となっているのは、ご存じ憲法第9条である。
「戦争放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」の3要素から成り、
「平和憲法」を支える礎である。「自衛隊」が「戦力」に当たるか
どうかは議論の分かれるところであるが、今ではもう自衛隊の
存在に違和感を持つ人は少なくなったのだろう。憲法を変えれば
軍隊だって持てちゃうんだし。
世論調査では、「70歳以上を除くどの年代でも改憲支持派が
現状維持派を上回った」とある。改憲派の多さを印象づけるべく
さらっと書いてあるけど、これって「70歳以上」は過半数が
改憲を支持していないということだ。
70歳以上と言えば、何らかの形で戦争を体験した世代である。
かくいう私もまだ60代ではあるが、その体験は明らかに70歳以上の
世代に準ずるものがある。そして90代の福島菊次郎さんみたいに
バリバリの戦中派まで、その年代は「70歳以上」などと一括りに
されるほど半端なもんじゃない。
しかし何と言っても、自民党と内閣の支持率は上昇気流に
乗っている。ここで一気に憲法改正。この目論見は当たりそうに
思える。「アベノミクス」とやらの景気状況に気をとられている
間に大きく足元を掬われかねない。狙われそうなのは9条だけとは
限らず、生活保護制度の論拠となる25条の「生存権」とか、
他にもいろいろありそうだし。
思えばこれは、将来必ずあると言われている大震災と同じくらい
怖いことかもしれないよ。 若い世代よ、くれぐれもご用心あれ!
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