空と海とゴミバケツ

 先日夫が通販でクール素材の敷きパッド&枕カバーの
セットを購入。私の分も買ったとかで1セットを貰い、
早速使用してみる。メッシュ編みでしゃりしゃりしていて
確かに涼感がある。色が青いのがちょっと気になったけど、
夏だけのことだし、私が金払ったわけじゃないし、ま、
いいかとそこはあっさり妥協した。
 そんな折、たまたま翌日の日経夕刊「プロムナード」に
国文学者の田中貴子氏がこの寝具のことを書いていたのだ。
氏もまた使い心地のよいこの敷きパッドと枕カバーを愛用
しているとのことだが、「問題点が一つある。」という。
それは…「みな一様に青色をしている」ことである。
 「夜に朝に敷きパッドを見るたび、ゴミバケツの中に
寝ているような気分に陥る」からである。あゝ、分かる
その気持ち! 
 氏によると、青色がゴミバケツに広く使われるように
なったのは、1964年の東京オリンピック開催あたりかららしい。
そういえば、私が子どもの頃は、木製の黒のゴミ箱がデンと
家の前に置いてあった。町の美化のために「清潔」を
イメージする青色が採用されたというけれど、
「ゴミ→清潔→青色」って、いかにも短絡的でセンス皆無。
お陰である種の「青色」には何とも言えぬ不快なイメージが
つきまとう。
 日本には古くから伝わる藍染があって、情趣豊かな
様々な「青色」を生み出してきた。「それが青色と涼しさを
結びつけるもう一つの要因になっているのではないか」と
氏はそのエッセイの後半で分析しているが、「でも、やはり
私は白い敷きパッドがどうしても欲しい!」と結んでいる。
 昔読んだ曾野綾子氏の小説に、主人公が思いを寄せる女性が
水族館の裏手で大きな青いポリバケツを抱えて働いているのを見て、
「何だってポリバケツは揃いも揃ってこんな青色をしているんだ。
それは言いようもなく不快で嫌な色だ。君はこんなひどい色の
ものを抱えちゃいけない」という思いに駆られる場面があって、
その時も「あゝ、分かる、その気持ち!」って思った。
 敷きパッドの他にこの青色を目にしてウエ~ッとのけぞった
比較的最近の記憶がある。老いに鞭打った我が努力の賜物
社会福祉士の合格証がまさにこの色のケースに入れられて
いたのだ。封を開けるまでは、来し方の苦労を偲びつゝ
つらつら眺めて感慨に耽ろうと思っていたのだが、ひと目
見た途端に速攻で戸棚の奥深くにしまいこんだ。
ゴミバケツに金の麗々しい彫り文字。
一時たりとも見ちゃいられない悪趣味の権化みたいな代物だった。
 それに比べりゃ敷きパッドは、その上に寝てしまえば
目には入らず、起きたらさっさと肌がけで隠せばいい。
寝るときは暗くしてから肌がけを剥げば色は分からない。
何たって夫からのもらい物では捨てるわけにもいかないし。
とはいえ、身の回りから「ゴミバケツ色」を一掃したいと
いう気持ち。寝るたびに益々強まっていくような気がする。
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