以前、介護職養成の出張講座に出向いた
 ときのこと。朝食をとるために入った駅前の
 ファーストフード店で、客が注文するたび店員が
 「××プリーズ!」と大声で叫ぶのに、肌が
 ゾワゾワっとするような違和感を覚えた私。
 その日の講座が「共感」をテーマにしたもの
 だったので、本格的な講義に入る前のマクラに
 そのことを話してみた。
  できるだけその場の様子を忠実に再現し、
 そのときの私の気持ちもまたできるだけ偽らずに
 話した後、皆に「共感できる?」と尋ねてみた
 のである。20名近くいた受講生のほとんどが
 頷いてくれたのだが、「共感できない人いる?」
 と促したところで、若い男性二人が心なしか
 おずおずと手を挙げた。
  その店は彼らも何回か利用したことがあるらしく、
 「別に変だとは感じない」と言う。
 「むしろ元気でいいって思う」と言う。
 そうか、確かに若い男性にしてみれば、かわいい
 女の子が「プリーズ!」と声を張り上げるのは、
 アイドル歌手が一生懸命歌ってるみたいなもので、
 好ましい感じなのだなあ、と思い至った。
  受講生は私とさほど変わらない中高年が多く、
 若い世代はごく僅か。こうしてのっけから
 ジェネレーション・ギャップの大きさを思い知る
 のもまたいい体験である。介護というのは、とりわけ
 さまざまなギャップに晒される仕事だからである。
  さて、講義はいよいよ本番へ。
 「××プリーズ!」への違和感を端緒とした
 丸2日の道のりは、まず違和感を覚える、あるいは
 覚えない自分自身を問い直すことから始まった。
 そして感じ方や考え方、価値観や習慣などの
 あらゆる違いを越えたところに生じる、深い実存に
 根差した共感へと、試行錯誤しながら歩を進めた
 のである。
  勿論それは、そんなに短い旅で辿りつけるような
 到達点ではない。だが、自らの違和感へのアプローチが
 助けの杖となることは確かである。
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