開業医の信念

先月から歯の治療のため、個人歯科医院へ通っている。
区内に歯科医院は数多くあるが、
私に様々な条件がありながらも診察を受け付けてくれる、
とてもありがたい歯科なのだ。
そしてここの先生の外見は難物そうなのに話し好きな一面があり、
今まで抱いていた歯科と違って通いやすいのが利点だ。
先日は前回の治療で歯神経を抜いたあとの薬剤の効き方と、
削り取った歯の整形が治療だと言った。
そうしてシートが倒れ口を開けると、先生からこんな発言が。
「歯医者というのは歯を削るだけで、歯を元通りにはできない。
痛みを取り除き詰め物をしても、それは本来ある歯の復元とは違う。
それを治療したと喜んでいる医者もいるが、治療と呼ぶには無力すぎる。」
テープレコーダーに吹き込んだわけではないが、
およそこのようなことを言った。
「そんなことありません」と答えるには違うし、
かといって「歯の痛みさえなければいいです」と言うのも野暮な気がして、
私はあんぐり口を開いているのをいいことに黙って聞いていた。
私は元には戻せなくても痛みの緩和だけで、
十分に治療の役割は果たしていると考える。
しかしその先生には独自の診療哲学か倫理があるようだ。
ただ次の予約をとる際に開院時間の予定表をみると、
毎週のように高齢者や障害者宅への往診と書かれているのを見ると、
先生のスタンスらしきものがうかがえる。
発言の真相はわからないものの開業医でやっている限り、
きっとどっしりとした信念がある診察をしているのだろう。
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