勤め始めて一ヶ月、
 おおまかな仕事の流れはなんとなくわかりはじめてきたが、
 会社独自の文化の不慣れさや、
 中途入社経験者なら感じるだろうアウェー感が拭えない。
 周りを見れば、
 裏方事務を30年していますというボスを筆頭に、
 現場から異動して16年目だとか、
 私の前任者の派遣社員でも8年ほど勤めるというほどに、
 社歴の長い人が多く、そして女性が目立つ。
 社歴が長い人の集まりにポンと入り込むのは、
 どうしても「部外者」の感じを持ってしまう私。
 そこへ、社内の徹底されたガイドラインの存在がある。
 以前なら女性と会話するのに抵抗はなかったのが、
 「こんなことを話したらセクハラかも」と、
 やけに慎重になっている私がいる。
 それは、ガイドラインにほかならないのだ。
 そのため、必要最低限のことしか話さないから、
 いまいち関係の築きづらさが、アウェー感のひとつかもしれない。
 ある女性がラインのキレイなスラックスを穿いて来て、
 「かっこいいですね」と声をかけたい場面があった。
 しかしガイドラインというものがあるとおいそれとは言えず、
 「そんなことも言えないのか」と思うふしもあるが、
 その一言が必要なのかを考えさせるのだ。
 案外、職場ではそれほど必要ではないのだ。
 確かに会話の糸口にはいいのかもしれないが、
 別にそれを言ったから親しみが湧くことは少ない。
 むしろ身なりや外見のことは誤解されやすいだけに、
 かえってその一言が尾を引くことも考えられる。
 いらぬ詮索は仕事に支障をきたす観点では、
 「個」が非常に守られていて、
 それがガイドラインを尊重する環境であり、
 業績につながるという仕組みなのだろう。
 楽と言えば楽ではあるが、さみしい感じもある。
 かといって仲良しグル―プのような職場や、
 上下関係が厳しいのも居心地はよくない。
 ならば、理想の職場の人間関係とは、なんだろう。
 とりあえず、アウェー感で立ち続けてみることも、
 悪くはないかもしれない。
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