なんだかんだと言いながら、図書館通いをしている。
つい最近もTAT関連の資料本を10冊近く借り、昨日返しに行った。
いやー、重かった!
全部返本して軽くなったバッグに心まで軽くなって、久しぶりに
目黒駅に向かって権の助坂を歩いてみた。途中に古本屋を見つけて
立ち寄り、1時間近くを費やしてまたバッグが重くなった。
図書館帰りに古本屋で本を買い込むって、我ながら本嗜癖重症だね。
そこで早速そのうちの1冊を昨夜読了。
「僕は君たちに武器を配りたい」(瀧本哲史著・講談社)である。
京大准教授にしてエンゼル投資家でもあるという著者が、若者に向けた
資本主義社会への戦い方を伝授している。表紙には「本書は、これから
社会に旅立つ、あるいは旅立ったばかりの若者が、非情で残酷な
日本社会を生き抜くための『ゲリラ戦』のすすめである。」との
キャプションがある。最近若い人が書くこの手の本が多くなったよね。
著者は「資本主義は善でも悪でもなく、ただのシステムである」と説く。
しかも「人間のいい意味での欲望に合致した、社会を進歩させる動力を
内包した結構優れたシステムなのだ」と。だが、そのシステムも今や
グローバリゼーションの波にさらされて先鋭化を極めている。以前は
高度な技術とされていた「会計士」や「弁護士」、果ては「医師」に
至るまでもはや安泰とは言えなくなった。
こんな厳しい社会に真っ向から戦いを挑んでも、あえなく討ち死に
するだけだ。状況に応じて臨機応変に戦術を変えるゲリラの戦い方こそ
ふさわしい。神出鬼没なゲリラ戦を支える武器は、現実の状況を正確に
見据える目と知識、そしてしっかりリスクとリターンを読む先見性である。
そうした戦略による働き方を著者は「投資的働き方」と呼ぶ。株に投資
するように自らの時間と労働力を投資する相手をしっかりと見極めねば
ならない。
…とざっとまあ、こんなことが書かれている本である。
猛スピードで読み通したので、全体を仔細にに吟味するまでには至らなかったが、
結構共感する箇所は多かった。特に著者が「大学では就職のための技術や
専門知識を学ぶより、リベラル・アーツ(一般教養)を学べ」と言っている
のには好感を抱いた。「大学で学ぶ本物の教養には深い意味がある。
それは人間を自由にする」と説き、比して「英語・IT・会計知識」の勉強などは、
あくまで「人に使われるための知識」であり、いわば「奴隷の学問」である、と
少々過激にアジっている。しかし確かにその通りだと思った。
著者が主張する如く「本物の教養」は人の土台をつくる。
勿論それは大学で身につけなくても同じことだ。若いうちに文学、思想、
哲学、宗教などの幅広い知識を自らの血肉にしている人は、人生を自分の足で
しっかりと生きている。TAで言えば、リベラル・アーツは「A(大人)」を
成熟させるのである。
今日は折しも川崎市による「介護職への再就職支援セミナー」の講師を
担当した。テーマは「自らの理解を深める」。これまでの「資格取得講座」
と違って、既にヘルパー2級を取得している方が殆どだった。彼らはもう
「若者」ではないが、自分に向き合うとき、やはり「A」の成熟が大きな
課題として浮かび上がった。前夜読んだ本の言説がちらちらと頭をかすめ、
かなり突っ込んだ内容の講座となった。たった一日の講義ではあるが、
幾何でも彼らの再出発の糧にしてもらえれば嬉しい限りである。
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