アクティング・アウト

 アクティング・アウトとは、精神分析の用語で
心理治療中に生ずるクライアントの心的抵抗や葛藤が
治療場面の外での行動となって表れることで、「行動化」
と訳される。無意識にある真実の欲求を暴かれまいとする
クライアントの「治療抵抗」の一つとされている。
 カウンセリングの無断キャンセルや遅刻をはじめ、
家族への暴力、あるいは自傷行為などその表れ方は
さまざまであるが、いずれも治療構造を脅かす威力を
潜ませている。カウンセラーとの間の転移・逆転移が
深く関与しているとみられ、治療者がその意味を
的確にとらえることができれば、治療の手がかりに
なり得るとも言われている。
 「行動化」と同じような意味をもつ現象に「身体化」
がある。抵抗が身体の症状となって表れるタイプである。
いずれも当人には意味がつかまえにくいものなので、
治療者の適切な介入が必要とされる。
 もう少し広い意味でのアクティング・アウトは、
治療場面にかぎらず、日常生活のなかでもみられる。
衝動的に高価な買い物をしてしまったり、誰かを
怒鳴りつけてしまったり、突然会社を辞めてしまう
といったようなことである。その行動の背後に
潜むものをじっくりと分析してみれば、何らかの
無意識的な欲求不満や葛藤が見出されるはずである。
 急な胃痛や発熱、吹き出物や湿疹などの「身体化」も
広い意味では、アクティング・アウトと言えるかもしれない。
無意識の抵抗が行動に出るか、身体に出るかは、その人の
状況、性格、防衛傾向などによって違ってくるようにも
思える。
 先日放大大学院の放送授業を聴いていたら「精神分析的
カウンセリング」のところで「アクティング・アウト」に
ついての解説をしていた。上記のような狭義と広義での
意味があるとしたうえで、その最後に担当教授が
「『人生最大のアクティング・アウトは結婚である』と
いうような言い方をしている人もいます」と紹介していた。
ん~、ほんと、そうかもねえ…
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