逃げ出した、あの日

ふとしたきっかけで過去の記憶が感覚的に鮮明に蘇ることがある。
例えば、nekoちゃんのブログを読んだときに。
そして、「エヴァンゲリヲン新劇場版」を観たときに。
「24歳」は僕にとってとてつもなく大きな十字架だった。
当時の大学生の新卒採用にはたいてい年齢制限があって、
それが「卒業時の年齢、24歳」だった。
生きる目的は特に見つけられず、プラプラと無為に時間を過ごし、
1年浪人して1年留年して、それでも時間は確実に流れ、
初めての大学4年生のときにこの壁にブチ当たった。
「モラトリアムはこれまで」という世間からの刷り込みに、
「否応なく社会人になるべし」という周囲からの圧力に、
中途半端に従いながら、中途半端に逆らい続けた。
何かをしたいと強く思いながら何もしたくないと強く願った。
まともに就職活動をして面接試験まで受けたのは1社だけ。
結果は、不採用だった。
もう一つだけ、
世間から後ろ指をさされずに、モラトリアムを延ばす方法があった。
大学院に進むこと。
これを目指す仲間も多かったので、僕もとりあえずそれにならった。
大学院の試験は普通に勉強していれば大丈夫とのことだった。
今でも本当のところはよくわからないのだけれど、
一応医学的には「抑うつ状態」が原因ということになったけれど、
まったく勉強に身が入らなかった。
普通にもできなかった。
何ひとつとして勉強しないまま、ただ時間だけが過ぎていき、
焦りのようなものや虚しさのようなものばかりが心を満たし、
生きることそのものにさえ面倒臭さを覚え、
どうしたいのか、どうしていいのかまったくわからず、
悶々としたままむかえた試験本番当日・・・
あの日、僕は逃げ出した。
試験には顔も出さず、
電話線も引っこ抜いてカーテンも閉めきって暗い部屋にこもった。
まるで重大なことをしでかした犯罪者のように。
2~3週間くらいだっただろうか。
つらかった
泣きたかった
死にたかった
消えたかった
できれば思い出したくなかった、埋もれたままにしておきたかった、
過去の記憶。
初めて精神科に掛かった。
初めてカウンセリングを受けた。
次の年には内定をもらったけれど、また逃げ出した。
医者に「10年くらいの長いスパンで考えましょう」と言われた。
カウンセラーに勧められて、初めてエンカウンターグループに参加した。
参加者の一人に勧められて、ビデオを借りて観た「エヴァンゲリオン」。
僕に感情移入してくれと言わんばかりの、
現実と逃避願望との葛藤の物語。
僕の24歳は一度しかなかったけれど、確かにあった。
あの時があって、その後のプロセスがあって、今がある。
このことをネガティブにもポジティブにも捉えることはできるけれど、
過去の事実は変えられないことと、
時間の流れを止めることはできないことだけはどうやら確からしい。
走り心地は良いとは感じないけれど無難で安全だとは感じていた、
そう思い込んでいた高速道路からなぜだか飛び降りたくなって、
そして、飛び降りた、あの日。
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